投票前、ドイツのショルツ首相とCDU党首のメルツ氏の間で、AfDへの対応をめぐり、厳しい非難合戦が展開された。ショルツ氏は、メルツ氏が極右政党との明確な境界線を放棄したと非難し、「あなた方は違法な提案に対するAfDの支持を公然と受け入れている」と怒鳴った。ショルツ氏は「選挙後にCDU/CSUがAfDと連立を結ぶ可能性がある」と推測しているわけだ。 それに対し、メルツ党首はショルツ氏の批判を「卑劣だ」と一蹴し「移民に関する提案を実行するためにAfDの承認を受け入れたのだ。重要なのは、たとえ間違った人々が同意したとしても、正しいことを行うことだ」と強調した。ただし、AFDに対するCDUの立場には変化はないという。

一方、AfDの共同党首で首相候補者ヴァイデル氏は「ドイツにとって歴史的な日だ。AfDに対するファイアウォール(防火壁)は、有権者の意思を排除するためのテコとなっている」と指摘。は同時に、「CDU/CSUは移民を抑制するためのAfDの提案をコピーしている」と非難することを忘れなかった。

なお、動議案には、「有効な入国書類を持たず、欧州の移動の自由に該当しない人々に対して入国禁止措置がある。これはドイツへの亡命申請を希望する人々にも明確に適用されるべきだ。法的に出国義務のある者は全員拘留されるべきだ。犯罪者および国外退去を求められる者は、自発的に国外に出国するか、国外退去が実行されるまで無期限に拘留されるべきだ。恒久的な国境管理も必要」と明記されている。

現在の移民議論の出発点は、バイエルン州のアシャッフェンブルクで1月22日に起きた襲撃事件だ。アフガニスタン出身で精神障害者の男が、モロッコにルーツを持つ幼稚園児の2歳児を含む2人を殺害し、他の人に重傷を負わせた事件だ。28歳の容疑者は本来、国外退去を求められていた。それが実行されず、今回の事件となったのだ。それ以来、選挙戦の争点が移民対策とAfDへの対処問題に集中してきたわけだ。