犬にも強く惹かれる「好きな色」があるようです。

インド科学教育研究所(IISER)のチームは、インドの路上で自由生活する野良犬134匹を対象に、色の選好テストを実施。

その結果、多くの犬が迷うことなく「黄色」を選ぶことがわかったのです。

一体なぜでしょうか?

研究の詳細は2025年2月4日付で科学雑誌『Animal Cognition』に掲載されています。

目次

  • 食べ物よりも「黄色」が好き?
  • なぜ犬は黄色に惹かれるのか?

食べ物よりも「黄色」が好き?

私たち人間は、赤・青・緑の3色を基本にして、多くの色を識別できます。

しかし、犬の目には「錐体細胞(すいたいさいぼう)」という色を感じる細胞が2種類しかないため、人間とは異なる色の世界を見ています。

具体的には、犬は主に「青」「黄色」の違いを識別できますが、赤や緑は黄色や灰色っぽく見えていると考えられています。

これまでの研究では、ペットの犬が色を識別できることは知られていましたが、自由に生活する野良犬を対象とした研究は少なく、色の嗜好についてもほとんど調べられていませんでした。

そこで研究者たちは今回、インドの路上で自由生活をする野良犬134匹を対象に、以下のような実験を行いました。

1:色の選択実験

犬の前に「黄色」「青」「灰色」のボウルを置き、どれを選ぶかを観察しました。

結果は、半数以上の犬が迷うことなく黄色のボウルを選び、青や灰色よりも明らかに好まれることが示されました。

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犬の多くは黄色を選んだ/ Credit: Anamitra Roy et al., Animal Cognition (2025)

2:食べ物 vs. 色の選択実験

次に、犬の前に「食べ物の入った灰色のボウル」と「空の黄色のボウル」を置きました。

普通に考えると、空腹の犬なら食べ物の入ったボウルを選びそうですが、実際には52匹中41匹が空の黄色のボウルを選んだのです。