プレミアリーグ 写真:Getty Images

 セリエA(イタリア)とプレミアリーグ(イングランド)が移籍市場の期間短縮を検討しているようだ。リーグ開幕前に市場を閉じることで、欧州トップレベルのクラブの指揮官にとっての悩みを減らすことになるかもしれないこの動きだが、ラ・リーガ(スペイン)を含む他の欧州主要リーグとの足並みを揃えられるかが課題となっている。

 セリエAのエツィオ・マリア・シモネッリ会長は2月24日、移籍市場を短縮し、リーグ開幕前に終了させる方針を明言した。スペインのメディア『カデーナ・セール』が伝えている。「移籍市場の締め切りは他のリーグとも共通の課題であり、イタリアとイングランドはシーズン開幕前に閉鎖したいと考えている。しかし、それには全会一致の合意が必要だ」と語った。

 だが、スペインはこの案に賛同せず、フランスやドイツと同様に8月31日まで市場を開けておきたい考えだという。シモネッリ会長は「欧州主要リーグと歩調を合わせる必要がある」とも述べており、リーグごとの方針の違いが浮き彫りになっている。

 移籍市場を早く閉じるリーグは、欧州内での競争面で不利になる可能性がある。一方で、ブラジル、トルコ、サウジアラビアといった国々は独自の日程を維持する可能性が高く、彼らとの競争環境の違いも考慮する必要がある。

 特にラ・リーガでは多くのクラブが契約解除条項を設定しており、移籍市場が開いている限り主力選手を引き抜かれるリスクがある。過去にはそれほど深刻な問題ではなかったが、サッカー界の経済格差が拡大する中で、その危険性は年々増しているようだ。財政面で余裕のあるリーグが移籍市場をフルに活用することで、資金力のあるクラブが選手を引き抜く傾向が強まり、近年、特にラ・リーガの中堅クラブにとっては不安要素となっている。

 この問題を解決するには、各国リーグの意向を調整しながら、競争の公平性を確保することが求められる。しかし、すでにリーグ間で意見の違いがある以上、一つの結論にまとまるのは容易ではなさそうだ。