トランプ氏は18日、記者会見で、「ゼレンスキー氏の支持率はウクライナ国内で極めて低く、戦争を終わらせることを拒んでいるのは、国外からの資金援助を受け続けるためだ」と主張。「3500億ドル相当の米国の支援は、勝てない戦争に流れ込んだ」と批判した。中途半端な批判ではない。ゼレンスキー氏の人格を攻撃し、戦争の責任はプーチン氏ではなく、ゼレンスキー氏にあると主張しているのだ。
トランプ氏とその側近の発言は、ロシアの主張に近づいている。ロシア側は「ゼレンスキー氏に国家元首としての正当性がない」という。その理由は昨年予定されていたウクライナ大統領選挙が実施されなかったからだ、と説明する。実際は、ウクライナの法律では戦時中に選挙を行うことは禁じられており、ゼレンスキー氏の反対派ですら戦争終結後まで選挙を先送りすべきと考えていることを付け加えておく。
トランプ氏の発言内容をもう少し検証してみよう。トランプ氏はゼレンスキーの支持率は4%だと述べたが、キーウ国際社会学研究所の最新の調査では、ゼレンスキー氏の支持率は57%に達している。ゼレンスキー氏を上回る支持を得ているのは、元軍総司令官で現在の駐英ウクライナ大使ワレリー・ザルジニー氏だけだ。また、トランプ氏が述べた「米国のウクライナ支援額は3500億ドル」という主張も、既知のデータと大きく食い違っている。実際、ウクライナへの軍事・財政支援の総額は、米国・欧州ともに約1000億ドルだ(独高級誌「ツァイト」オンライン)。
トランプ氏は12日、プーチン大統領と電話会談した。その直後、サウジアラビアのリヤドで米ロ高官会議が開催された。そこではウクライナの停戦交渉だけではなく、米ロ両国関係についても話し合われたという。それからだ。トランプ氏の口からロシア批判は消える一方、ウクライナ問題ではキーウ側、特に、ゼレンスキー氏批判が強まってきているのだ。
「ツァイト」オンラインによると、トランプ氏はウクライナに対し、「米国の支援を、ウクライナの資源で返済する要求を突きつけた」という。それに対し、ゼレンスキー氏は署名を拒否した。その理由は、契約に米国からの安全保障の文言がなかったからだという。ちなみに、「米国の支援」と「ウクライナの資源」の交換案は昨年の秋、ゼレンスキー氏自身がウクライナ議会で提示している。トランプ氏の独自案ではない。