そのため、これまでカリストの地下海の存在は決定的なものとは言えませんでした。

地下に「海水」が眠る可能性が大

そこで今回の研究では、カリストの磁場データをより詳細に解析し、地下海の有無を再検討しました。

研究チームは、ガリレオ探査機がカリストを8回接近飛行した際に取得した磁場データをすべて活用し、多周波解析を行いました。

その結果、カリストの電離層だけでは観測された磁場のすべてを説明できないことが示されたのです。

それと同時に、地下に塩分を含む液体の海があると仮定すると、磁場データと非常に一致することが確認されました。

さらに、カリストの地下海は少なくとも数十キロメートルの厚さがあり、その上を氷の殻が覆っていると推定されました。

この発見により、カリストが単なる「死んだ天体」ではなく、木星の他の氷衛星と同様に、地下に広大な海を隠し持つ可能性が高まったのです。

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データ分析から推測されるカリストの内部構造/ Credit: Corey J. Cochrane, NASA/JPL-Caltech

これまでカリストは、地質学的に活動の少ない「静かな衛星」と考えられていました。

しかし今回の研究により、地下には広大な海が存在する可能性が高まりました。

もしカリストに海があり、そこに生命の兆候が見つかるとすれば、それは私たちが知る生命の定義を大きく変える発見になるかもしれません。

これを受けて、今後の探査ミッションにおいてカリストの地下海がさらに詳しく調査されることが期待されています。

2020年代には、NASAの「エウロパ・クリッパー」や欧州宇宙機関(ESA)の「JUICE(木星氷衛星探査機)」が木星圏に向かい、エウロパやガニメデとともにカリストの詳細な観測を行う予定です。

エウロパと同様に、カリストの地下海にも生命を育む環境があるのかどうか、その解明が待たれます。

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参考文献

Jupiter’s moon Callisto is very likely an ocean world
https://phys.org/news/2025-02-jupiter-moon-callisto-ocean-world.html