【最新モデル試乗】ベントレー・コンチネンタルGTCはエレガンスとスポーツが融合した芸術品。「GT」の呼称はこのクルマのために存在する
(画像=ベントレー・コンチネンタルGTCスピード/価格:8DCT 4312万円。第4世代は 「スピード」から新世代に移行。新型はアイブロウを加えたヘッドランプ形状を採用。クーペのGT(3930万3000円)とオープンのGTCが選べる。サイドビューは美しくダイナミック。サイズは4895×1966×1392mm、『CAR and DRIVER』より 引用)

新型は上級モデルの「スピード」から市場に導入

 ジャパンプレミアされた新型ベントレー・コンチネンタルGT&GTCスピードのステアリングを握った。これまでおよそ20年間このクルマに憧れてきた身としてはかなり興味深い瞬間だ。長年コンチネンタルGTに触れ、あらゆるメディアやイベントでその魅力を説いてきたことからも、進化の度合いは身をもって感じたいところである。

 それにしてもベントレー人気はグローバルで高い。昨年の販売台数は1万3560台。過去3番目を記録している。およそ4割以上がSUVのベンテイガというのがいかにも時代を反映している。昨年エクステンデッドホイールベース(EWB)が追加されたのが人気に拍車をかけたようだ。

 それはともかく、新型GTスピードである。千葉県にあるTHE MAGARIGAWA CLUBで走らせた。スーパーカーや超高級車専門ディーラーで知られる、コーンズが手がける会員制ドライビングコースだ。

【最新モデル試乗】ベントレー・コンチネンタルGTCはエレガンスとスポーツが融合した芸術品。「GT」の呼称はこのクルマのために存在する
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】ベントレー・コンチネンタルGTCはエレガンスとスポーツが融合した芸術品。「GT」の呼称はこのクルマのために存在する
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 4世代目となったコンチネンタルGTレンジはご存知のように、「スピード」からスタートした。そして世界屈指のコーチビルダー「マリナー」がその後を追った。順当に行けばこのあとスタンダードのGTとGTCがリリースされるのだろう。試乗当日に本社プロジェクトリーダーのダレン氏に質問すると、「お楽しみに」とお茶を濁されてしまった。トップエンドから販売をスタートするのはマーケティング的戦略で、ブランディングでもあるだろう。スーパーカーを含め同価格帯ではパワー合戦が行われていることを鑑みれば、そんな青図を描きたくもなる。

 新型のパワーソースは、4リッター・V8ツインターボで、それだけで600psを発揮する。そしてプラグインハイブリッド(PHEV)となった今回、追加されたモーターの出力は190psとなる。結果、システム総合出力は782ps。最高速度は335km/h、0→100km/h加速は3.2秒(GTCは285km/hと3.4秒)という数字が並ぶ。

 この数値は第2世代のスーパースポーツやコーチビルドのバトュールを上回る。つまり、「スピード」はベントレー史上最高スペックのモデルとなった。

新造形ランプでイメージを刷新。速さ/サウンド/ハンドリングは圧巻の完成度

 エクステリアデザインは、従来型フォルムを継承するも細部は見直されている。68%のパーツを一新したと資料にあるが、ボディパーツもその中に含まれるのだろう。

 目立つのはやはりヘッドライトだ。1919年の創業から長年使い続けていきた丸型(近年は楕円形)に大きく手が入った。上部に眉のような水平ラインが組み合わされたのである。前出のダレン氏によると入念なリサーチのもと実行されたそうだ。彼らとしてはイメージ変更は不安だっただろう。戦前の3リッター(白洲次郎号)から何台も触れてきた身としても不安なのはわからなくない。正直、個人的には違和感大アリである。

【最新モデル試乗】ベントレー・コンチネンタルGTCはエレガンスとスポーツが融合した芸術品。「GT」の呼称はこのクルマのために存在する
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】ベントレー・コンチネンタルGTCはエレガンスとスポーツが融合した芸術品。「GT」の呼称はこのクルマのために存在する
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 では走らせた印象へ話を進めよう。ドライバーズシートに座って思うのは、これまでと同じ感覚ということ。自分のドライビングポジションに合わせるとダッシュボードの高さやピラーの角度に変化がないのがわかる。スッと体が収まる感じが心地よい。ただ、当然デジタル化は進んでいる。インターフェイスは最新だ。ここはベントレーの弱点だっただけに競争力が増した。と同時にシートやトリムに新しいデザインのキルト刺繡が入っているなど高級さもしっかり期待に応えている。この辺の匠の技はさすがだ。

 走り出しはスマートで、ベントレーらしくスーッと自然に動き出す。極太トルクが小さいアクセル開度に反応するのがベントレーらしい。ドライバーがリラックスした状態で事が運ぶ感覚だ。そのままアクセルを踏み増しての加速は相変わらず強力。ズドーンっという勢いで周囲の景色が線のように流れる。この加速感は過去最高。4リッター・V8ツインターボにさらに過給機としてモーターがアシストする。要するにブースト効果。昨今のスーパーカーと同じ手法だ。しかもその際の音がいい。これまでベントレーのPHEVはV6ベースだったので音の迫力はイマイチだったが、新型はそれを払拭。いままでどおりのV8サウンドを轟かせながらさらなるアクセレーションを達成する。

【最新モデル試乗】ベントレー・コンチネンタルGTCはエレガンスとスポーツが融合した芸術品。「GT」の呼称はこのクルマのために存在する
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】ベントレー・コンチネンタルGTCはエレガンスとスポーツが融合した芸術品。「GT」の呼称はこのクルマのために存在する
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 ハンドリングもグッド。このMAGARIGAWAは後半の連続した上りコーナーでそれを味わえるのだが、これまで同様ハンドリングマシンとしてのパフォーマンスを楽しませてくれた。レーシングカーから生まれたベントレーのDNAはここで発揮される。反力が少なくクセのないパワーステの設定のまま左右にステアリングを動かすと、路面にハリついたまま鼻先がきれいに向きを変える。ロールは不自然なくピタッと抑えられ、ドライバーが不必要に体を揺さぶられることがないのが素晴らしい。コーナリングスピードは確実に上がったようだ。ただ一つだけ不満を言うと、速くなった分「味」が薄まった気がしなくもない。モーターの部分がそう感じさせるのだろうか、ベントレーならではのフィーリングがマシン化している気がする。

 なんてことを感じた今回のテストドライブ。クローズドのコースなのでキャラクター全体は語れない。速さは確実に増している。

【最新モデル試乗】ベントレー・コンチネンタルGTCはエレガンスとスポーツが融合した芸術品。「GT」の呼称はこのクルマのために存在する
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】ベントレー・コンチネンタルGTCはエレガンスとスポーツが融合した芸術品。「GT」の呼称はこのクルマのために存在する
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】ベントレー・コンチネンタルGTCはエレガンスとスポーツが融合した芸術品。「GT」の呼称はこのクルマのために存在する
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】ベントレー・コンチネンタルGTCはエレガンスとスポーツが融合した芸術品。「GT」の呼称はこのクルマのために存在する
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

文・九島辰也、写真・BENTLEY/提供元・CAR and DRIVER

【関連記事】
「新世代日産」e-POWER搭載の代表2モデル。新型ノートとキックス、トータルではどうなのか
最近よく見かける新型メルセデスGクラス、その本命G350dの気になるパワフルフィール
コンパクトSUV特集:全長3995mm/小さくて安い。最近、良く見かけるトヨタ・ライズに乗ってみた
2020年の国内新車販売で10万台以上を達成した7モデルとは何か
Jeepグランドチェロキー初の3列シート仕様が米国デビュ