【木村ヒデノリのTech Magic #042】 家庭への普及がなかなか進まなかったプロジェクター市場に変化が起きている。「popIn Aladdin(ポッピンアラジン)」は、照明と一体化することで面倒な配線作業を排した画期的プロジェクターだ。今回、紹介するのは第2世代である「popIn Aladdin 2」。使いやすいシンプルなユーザーインターフェースにも関わらず、やりたいことができるポイントを押さえた機能性も高く評価できる。実家に導入してみたところ、60代両親のライフスタイルがガラリと変わったので体験談も交えて紹介したい。 

照明と一体化した画期的なプロジェクター「popIn Aladdin 2」
初代と比べるとかなり薄くなって圧迫感が軽減されている
(画像=BCN+Rより引用)
スピーカーはハーマン製 こちらも本体と一体になっている
(画像=BCN+Rより引用)

設置が簡単! すぐに使い始められるpopIn Aladdin 2

 設置の簡単さはpopIn Aladdinをここまで普及させた大きな要因と言えるだろう。通常は電源やプレイヤーまでの配線、スピーカーとの接続など、かなり煩雑になるホームシアターが引掛シーリングにはめるだけで設置完了。映像コンテンツはネット系のサービスとテレビ番組、解像度はフルHDと割り切ることでこの手軽さを実現している。

 どうせ大画面で見るなら4Kの高解像度で見たい、といった層には物足りないかもしれないが、一般のユーザーには十分だ。何よりシーリングライトがつけられる部屋ならどこでも簡単に設置ができ、住み方が変わっても手軽に移動できるというフットワークの軽さは他製品にない魅力だろう。
 

63歳になる父親でもできるくらい簡単な設置。
ただし築年数の古い家の場合は引掛シーリングが未設置の場合があるので注意。
工務店に頼むと簡単な電気工事で引掛シーリングに交換してくれる
(画像=BCN+Rより引用)

 少し気になるのは内蔵スピーカーの音質だが、これも低音までしっかり出ており、視聴上気になることはなかった。高音質かといえば評価が分かれるところだが、「リビングで手軽にコンテンツを楽しむ」ということにおいては問題を感じなかった。

 ただ、今回の筆者のように台形補正を使って本体から斜めに照射するような場合には、音の出どころと映像が映っている場所がズレるので少し違和感がある。この場合Bluetooth経由で外部スピーカーと接続して使えば解消できるが、音声を送るコーデックは一番音質が下のSBCにしか対応していないため、あくまで音が出る方向の改善と考えてほしい。
 

初代では1台だったハーマン製スピーカーが2台内蔵され音質も向上した
(画像=BCN+Rより引用)

普及の要因は内部にあり! 秀逸な操作性と実用的なアプリ

 設置の簡単さは前述した通りだが、それだけではここまでユーザーの支持を集めなかったように思う。「アイディアはいいが、果たして実用に足るものなのか…」と筆者もやや懐疑的だった。しかし使ってみると考えは一変、レスポンスの速さと、各アプリの作り込みの素晴らしさに感動し、頭はすでに購入に傾いていた。自宅に引掛シーリングがひとつもないという特殊な理由もあり、そのとき購入はしなかったが、両親から照明を変えたいと申し出があったので念願の設置に至った。
 

壁までは175cmなので80インチ相当で映っている。
700ルーメンということだが、一昔前と違いかなり明るく映っているように感じた
(画像=BCN+Rより引用)

 アプリの作りが良いと書いたが、特に良いと感じたのがAladdin Todayというアプリ。早朝Aladdin Todayが立ち上がるように設定しておくと、ニュースヘッドラインが流れる。bouncyなどニュースジャンルごとのメディアを表示してくれるので朝新しい情報を入れるのに効率的だ。

 とはいえ、ポッピンアラジンではアプリが独自仕様なので、不安に感じる部分はある。しかし、毎日体験してみると時計や壁紙のアプリも単なるおまけではなく実用的なもので、子供向けのアプリに関してはどれもすごく作り込まれていることがわかる。

 映像コンテンツもNetflix、Amazonプライムビデオ、YouTubeなど王道は抑えつつも、YouTube Kidsにも対応するなど、ターゲティングを守りながら特化したアプリを入れることでユーザーの利便性に貢献している。こういった点は使ってみないとわからないので、興味をもった読者はぜひ一度体験してから購入判断をして欲しい。情報だけではわからなかった発見や感動があるはずだ。
 

こちらは65cmの距離に投影した写真。近くに映すと画角は小さくなるものの、明るさは増す
(画像=BCN+Rより引用)
設置距離や角度は上記の通りで、廉価版のSEとの違いはここが大きい。
popIn Aladdin 2はかなり近い距離でも大画面での照射が可能になった
(画像=BCN+Rより引用)

アプリはどれもしっかりと作り込まれていて余分なものがない好印象
(画像=BCN+Rより引用)

既存のレコーダーが活かせるテレビ機能も便利

 レコーダーがDLNA機能に対応していれば、新たにチューナーなど購入することなくテレビが見られるのも良い。最近のものはほとんどDLNAに対応しているので、どのメーカーのレコーダーであっても同じネットワーク内にあればpopIn Aladdin 2に表示される。
 

レコーダー側のDLNA機能をオンにしておけばサーバーとして表示される
(画像=BCN+Rより引用)

 こうしておけばレコーダー内に保存されている動画のほか、レコーダーを介してリアルタイム番組視聴もできるようになるのでとても便利だ。レグザなどの全録機器と組み合わせれば1週間分の6番組がいつでも視聴可能となり利便性が飛躍的に向上する。

かなり作り込まれているが、改善して欲しいという点も

 税込9万9800円という価格帯でも即決して良いと思えるほど完成度の高い製品だが、あとほんの少しここを改善して欲しいという点もある。まず、アプリの並べ替えができない点。UIの設計上よく使うアプリを上部に表示するというフローはわかるが、やはりスマホなどで慣れているユーザーにとっては自分の使いやすいようにアプリを並べ替えたい。

 次にAmazon EchoやGoogle Assistantに対応していない点。独自の音声認識デバイスを追加購入すれば音声での操作が可能になるが、ここはサードパーティ製のものに対応してほしかった。ファームウェアでも対応可能だと思うので今後に期待したい。

年齢を問わず恩恵を受けられる作り込みに感動

 63歳になる筆者の両親が「これがついたからもうテレビのある和室に行かなくなってしまった」と言うくらいの完成度の高い製品であるpopIn Aladdin 2。宝の持ち腐れになるのではと心配していたが、毎日使ってくれているようでうれしい限りだ。新しいテクノロジーというと若者向けだと考えがちだが、popIn Aladdin 2は子供から親世代まで楽しめる素晴らしい製品だった。物が溢れがちな実家でも天井なら…と親孝行にもってこいなので父の日や母の日、敬老の日にプレゼントしてみるのはどうだろうか。(ROSETTA・木村ヒデノリ)

■Profile

木村ヒデノリ 
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。

提供元・BCN+R

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