本研究では、55カ国以上、10万人以上 の参加者を対象に、結婚や離婚に対する価値観を調査しました。
研究者たちは、過去の3つの大規模調査のデータを分析し、個人の価値観・文化的背景と離婚の関係を明らかにしました。
具体的には、以下のポイントを調査しました。
- 個人レベルの価値観
- 自律性(自己決定を重視するか)
- 刺激(新しい経験を求めるか)
- 快楽(楽しさを重視するか)
- 伝統(宗教や文化の価値観を尊重するか)
- 順応(社会のルールに従うか)
- 文化レベルの価値観
- 自律性を重視する文化(個人主義的な社会)
- 共同体の一体性を重視する文化(家族や社会の結びつきを大切にする社会)
研究結果:離婚しやすい人と社会の特徴
調査の結果、次のことが明らかになりました。
- 自律性・刺激・快楽を重視する人ほど離婚しやすい。
- 例:自由を求め、新しい体験を楽しむ人は、結婚生活に制約を感じやすく、離婚を選びやすい。
- 伝統・順応・安全を重視する人は離婚しにくい。
- 例:結婚を神聖なもの、破ってはいけない伝統的な慣習と考える人は、離婚を避けようとする。
- 個人の価値観が離婚に与える影響は、その人が住む社会の文化によって異なる。
- 例:個人の自由を重視する文化(アメリカや北欧)では、個人の価値観が離婚の決定に強く影響する。
- 逆に、共同体の一体性を重視する文化(中東やアジア)では、社会的圧力が離婚を抑制する。
実際に、アメリカや北欧諸国の離婚率は、日本を含むアジア諸国よりも高い傾向があります。
つまり、「個人の価値観」と「社会の文化」が相互作用することで、離婚の可能性が大きく左右されるのです。
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今回の研究は、個人の自由を尊重する人や社会では離婚率が高く、伝統を大切にする人や文化では離婚率が低いことを示しました。
これは世界的に離婚率が上昇している理由を説明するものとなります。