クマムシの不死身リストに「銃で発射されても死なない」が追加されました。

これは21年に行われた実験で、イギリス・ケント大学が、氷点下や宇宙空間でも生きられるクマムシが、どれほどの衝撃に耐えられるのかを調査したもの。

その結果、拳銃の弾より速いスピードで射出されても死なないことが判明したのです。

研究は、2021年5月11日付けで『Astrobiology』に掲載されています。

目次

  • ライフル弾に近い速度まで耐えられる!

ライフル弾に近い速度まで耐えられる!

クマムシは、4対8本の足を持つずんぐりとした緩歩動物です。

体長は1ミリほどで、約1200種が知られており、高山や深海、南極など、世界中のどこにでも住んでいます。

クマムシは周囲に水がなくなると、「乾眠」という不死身モードに入ります。

こうなるとクマムシは、無酸素や氷点下、高圧、煮沸、放射線、真空と、あらゆる過酷な環境にさらされても死にません。

30年間冷凍させても、水をかければ再び動き始めるのです。

過去には、博物館に130年間保管されていたクマムシが復活した例があります。

強靭すぎるクマムシ、ついに極限環境を生き抜くメカニズムが判明

ある意味で「最強」の名にふさわしい生物です。

そこでこの研究チームは、クマムシをライトガスガンで発射し、どれほどの速度まで耐えられるかを実験しました。

使用したライトガスガンは、水素やヘリウムなどの軽ガスを急速に加圧することで、秒速8kmまでの射出速度を生成できます。

チームは、淡水棲のドゥジャルダンヤマクマムシ(Hypsibius dujardini)を用い、ナイロン製のサボ弾に入れて冷凍し、乾眠状態を誘発しました。

※サボ(Sabot)とは、銃の口径より小さな弾頭を発射する際に、弾頭に装着するアダプターのこと

その後、サボ弾をライトガスガンに装填し、真空チェンバー内の砂床に向けて、秒速0.556~1.00kmの範囲で発射しました。