人類は約200万年の間、地球の頂点捕食者として、肉食に進化していたことが判明しました。
イスラエル・テルアビブ大学の最新研究によると、その200万年間に過剰狩猟でメガファウナ(大型動物)が減少し、石器時代の終わりにかけて動物の食料源が衰退。
そのため、1万年前頃から植物性の栄養源を取り入れて、次第に雑食化していったとのこと。
初期人類は、最初から雑食ではなかったようです。
研究は、2021年3月5日付けで『American Journal of Physical Anthropology』に掲載されています。
目次
- 野菜を取り入れたのは、肉を食べ尽くしたから?
野菜を取り入れたのは、肉を食べ尽くしたから?
石器時代のヒトの食事を再建する方法として、現代の狩猟採集社会との比較は意味がありません。
200万年前には、狩猟対象となる大型動物がたくさんいましたが、今日では生態系全体が変化してしまっているからです。
そこで研究チームは、私たちの体に保存された記憶、つまり、遺伝学や代謝、身体構造を調べる方法を採用しました。
(人間の行動様式は急速に変化するが、進化は遅く、過去の痕跡を残しているため)
チームが中心に据えた問題は「石器時代のヒトは、肉食に特化していたのか、あるいは植物も食べる雑食だったのか」ということです。
さまざまな学問分野から10年の歳月をかけて、関連する約400の論文を分析し、いくつかの答えを見つけました。
その顕著な例の1つが、ヒトの「胃の酸性度」です。
私たちの胃の酸性度は、雑食動物や他の捕食動物と比べても高く、強酸性の生産と維持には大量のエネルギーが必要となります。
それだけのエネルギーを摂取するには、肉食が一番です。
また、強い酸性度は、肉が含む有害な細菌からの保護にも役立ちます。
肉食であったことを示すもう一つの証拠は、体内の「脂肪細胞の構造」です。
雑食動物の体では、脂肪は比較的少数の大きな脂肪細胞に蓄えられていますが、肉食動物では、多数の小さな脂肪細胞をもちます。