科学と宗教が解明しようとする死後の世界

 この男性の話は、世界中で報告される数多くの臨死体験の一例にすぎない。カナダのアンバー・カヴァナーという女性は、43歳のときに2度の脳卒中を経験し、「天国と地上の境界」に訪れたと証言している。彼女は幽体離脱をし、自分の遺体のそばで泣く夫の姿を見たと語る。

 近年の研究では、死の瞬間に脳内で「嵐」または「活動の急増」が起こることが明らかになっている。『ガーディアン』紙の報道によれば、臨死体験を研究する学者たちは大きく三つの派閥に分かれるという。

 一つは、「物理主義者(フィジカリスト)」であり、死を純粋に生物学的な現象として捉える立場である。もう一つは「超心理学者(パラサイコロジスト)」であり、意識が死後も存続する可能性を探る。最後に、「スピリチュアリスト(霊的信奉者)」の立場をとる研究者もおり、宗教的な観点から死後の世界を研究している。

 脳神経学者ジモ・ボルジギン教授の研究では、生命維持装置を外された患者の脳の特定の領域が極めて活発になることが確認された。その活動は、目覚めた状態や鮮明な夢を見ているときと同じレベルであり、さらには共感に関係する脳領域も活発化していた。

 死後の世界についての議論は、科学と信仰が交錯する分野であり、明確な結論はまだ存在しない。しかし、今回の証言のように、死の間際に何かしらの体験をする人々は後を絶たない。彼らの語る物語が幻覚なのか、あるいは本当に異世界への扉が開かれているのか、それを解明するにはまだ時間がかかるのかもしれない。

文=深森慎太郎

提供元・TOCANA

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