ある日突然、肌の一部が白くなってしまう――これは「尋常性白斑」と呼ばれる皮膚の疾患です。
世界人口の約0.5〜1%が罹患しており、外見に大きな影響を及ぼすため、患者をひどく苦しめます。
ノースウェスタン大学(Northwestern University)の研究チームは、「微生物の力」を活用し、白斑の進行を抑え、色素を回復させる可能性を示しました。
尋常性白斑の原因はいったい何なのでしょうか?新しい研究はどうして有効なのでしょうか?
この研究の詳細は、2024年12月31日付で『Journal of Investigative Dermatology』誌に掲載されました。
目次
- 尋常性白斑とは? 原因と治療法
- 枯草菌が白斑の進行を抑え、回復させる!?
尋常性白斑とは? 原因と治療法
尋常性白斑は、皮膚の色素細胞であるメラノサイトが破壊されることによって発生する皮膚疾患です。
これは、体の一部や広範囲にわたり、肌が白く抜ける症状が特徴です。
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尋常性白斑の治療法としては、ステロイド外用薬、光線療法(紫外線を照射してメラノサイトを刺激する)などがあります。
これらの治療法も一定の効果は期待できますが、完全に色素を回復させるのは難しく、副作用の問題もあります。
では、尋常性白斑の原因は何でしょうか。
尋常性白斑の原因は完全には解明されていませんが、主に自己免疫異常が関与していると考えられています。
つまり、免疫システムが誤ってメラノサイトを攻撃し、色素を失わせるのです。
また、最近の研究では皮膚の微生物群(スキンマイクロバイオーム)の不均衡が白斑の発症や進行に関与している可能性が指摘されています。
皮膚の健康な細菌バランスが崩れることで免疫異常が引き起こされ、メラノサイトの破壊につながる可能性があるのです。
このような背景の中、今回の研究では「皮膚の免疫環境を調整し、白斑の進行を抑える新たな方法」として、ある細菌に着目しました。
枯草菌が白斑の進行を抑え、回復させる!?
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