さらに遺伝子解析を行ったところ、この魚がこれまで記載されたどの種とも異なる独自の遺伝的特徴を持つことが確認されました。
そして最も際立っていた特徴は、目の下から頬にかけて赤い線模様がすっと入っていたことです。
研究者らは、この赤い模様が映画『もののけ姫』に登場する少女サンに似ていることから、学名を新たに「ブランキオステグス・サナエ(Branchiostegus sanae)」と命名しています。
また映画のタイトルにも含まれる「もののけ」という言葉は、日本の伝承で超自然的な霊や妖怪を指します。
この点も、中国の漁師が「幽霊の魚」と呼んでいたことと一致しており、研究者たちはこの名前を選んだのです。
まだまだ新種が見つかるかも
深海には、まだ知られていない多くの生物が存在しています。
特に深海のアマダイ科(Branchiostegidae)はこれまでに31種しか記載されておらず、新種の発見は非常に珍しいことです。
実際、1990年から2024年までの34年間で、新たに記載されたアマダイ科の新種は、今回の「サナエ」を含めてもわずか3種のみ。
このことからも、深海の生物多様性については、まだ解明されていない部分が多いことがわかります。
今後の研究では、深海魚の生態や進化の過程をより詳しく解明し、新たな種の発見につなげていくことが期待されています。
もしかすると、これからも私たちがよく知るキャラクターにちなんだ名前を持つ新種が続々と登場するかもしれません。
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参考文献
New fish species with ‘face paint’ named after Studio Ghibli character
https://www.eurekalert.org/news-releases/1073105?
元論文
Branchiostegus sanae, a new species of deepwater tilefish (Eupercaria, Branchiostegidae) from the South China Sea
https://doi.org/10.3897/zookeys.1227.130512