TOCANAでも過去に何度か紹介してきた「手足の指が6本以上になる多指症」だが、やはり6本指を持つ存在は古来から特別だと考えられていたようだ。

 この度、エルサレム近郊の発掘調査で約9000年前の新石器時代の女性の墓が発見された。この女性は左手に六本の指を持ち、当時の文化において特別な存在と見なされていた可能性がある。遺骨の周囲からは豊富な副葬品が見つかり、彼女が霊的な指導者、もしくはシャーマンとしての役割を果たしていた可能性が高まっているという。

新石器時代の遺跡から特異な女性の墓を発見

 この発見があったのは、エルサレム西部のモツァ遺跡だ。2018年から2020年にかけて行われた発掘調査の一環として発見されたもので、研究はイスラエル考古学庁(IAA)の監督のもとで実施された。この地域は土器を伴わない新石器時代B(Pre-Pottery Neolithic B)の大規模な集落の跡であり、エルサレムへの主要幹線道路「ハイウェイ16」の建設前に調査が行われた。

 発掘された墓には15歳以上の女性の遺骨が収められていた。特に注目されたのが、彼女の左手に六本の指があったことだ。古代の多くの文化において、多指症は神聖な存在の証とされ、特別な霊的能力を持つ者と見なされることがあった。この特徴が、彼女が共同体内で重要な役割を果たしていたことを示唆している。