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RS、それは「伝説のGT-R」の復活。赤バッジを装着していた
スカイラインRS(=レーシングスポーツ)は、かつてのサーキットの王者GT-Rの再来を夢みるファンに応えた、待望の高性能モデルである。ノーズに積む2リッター・16バルブ・フォア、FJ20型は、単なるツインカムではない。1気筒当たり4バルブの本格派だ。どこをとっても、高性能指向である。それもそのはず、FJ20型は、世界のモータースポーツシーンで、栄冠を勝ち取ることを目標に開発されたのだ。フルチューンされたFJ20型は240〜250psを簡単に引き出すはずである。
スカイラインGT-Rの走りっぷりを、キミたちは知っているだろうか。あの24バルブ・シックス、S20型はFJ20型と同様、レーシング用に設計され、プロトタイプ、R380から移植されたものだった。
FJ20型は、スターターをひねるだけで瞬時に目覚める。アクセルを軽く踏み込むと、タコメーターの針がピーンと跳ね上がる。そのシャープな反応。FJ20型のポテンシャルの高さが、すぐに想像がつく。
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スタート。決してクラッチは重くなく、スムーズにつながる。かつてのGT-Rのようにヘビーでも、ハードでもない。2000rpm以下の低回転域ではさすがにトルクは痩せぎみだ。だが、滑らかさは十分なので扱いにくくはない。一定速度で淡々と走行するのなら、40km/hは4速ギアでカバーできる。とはいえFJ20型が本来の姿を見せるのは、4000rpmを超えてからだ。グンとトルクが高まり、鋭く、ダイナミックな加速を開始する。16バルブ・フォアの素晴らしいサウンド演奏が、本腰を入れて始まるのもここからだ。それは快い「スピードの音「である。かつてのGT-Rが奏でたハイピッチな金属的なサウンドとは違うが、紛れもない「ハイパフォーマンス・エンジンならでは「の音。マニアックな人たちのハートに響くサウンドである。
4000rpmを超えた針は勢いを増し、短時間で6000rpmの最大出力回転数に達する。この間のピックアップのよさ、スムーズさ、素敵なサウンドは最高である。6000rpmを超えると、パワーカーブは下降しはじめるが、あまり目立たない。6500rpmを超すと、さすがにパワーの頭打ちがはっきり感じられる。だが、それでも引っ張ることが無意味になるほどは低下しない。7000rpmオーバーで、ようやくFJ20はわずかにスムーズさを失ってくる。それでも回転限界には、まだたっぷりとした余裕がある。
ギアボックスはクロースレシオの5速MT。1〜2速ギア間はややワイドだが、2速〜5速間はクロースしており、スポーツ性が高い。ただし操作性がいいとは、いえない。そこはちょっと残念だ。
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RSのゼロヨンは16.7秒、0→100km/hが9.8秒。ノンターボ2リッター車としてはゴキゲンな速さだ。GTターボと比較して、どちらか速いかは気になるところだ。ゼロヨンとか、0→100km/hというスプリントレースの場合は、立ち上がりのいいRSの勝ち。ハイウェイなどで4速または5速ギアでの追い越し加速競走なら、GTターボのほうが速いだろう。ワインディングロードの戦い。これは文句なくRSが勝つ。
RSの足回りは、基本的にはGTターボのE・Sと共通である。タイヤも同じ、ミシュランXVS(195/70HR14)を履く。違うのはリミテッドスリップデフ(LSD)を組み込んだこと、ステアリング取り付け部の剛性をアップしたことくらいである。
足回りはいい出来である。アジャスタブルダンパーをハード側にセットすれば、存分にFJ20型のパワーを楽しみ、ワインディングロードを飛ばすことができる。
金属的で豪快なサウンドを撒き散らしながら、一気に7000rpmまで吹き上がり、サーキットを席巻した24バルブ・シックスを搭載したあのGT-Rのエキサインティングな走りを、ボクはよく知っている。新登場のスカイラインRSはそのボクに、いつまでもステアリングを離したくない、と思わせた久しぶりの国産車である。
※CD誌/1982年1月号掲載
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【プロフィール】
おかざき こうじ/モータージャーナリスト、1940年、東京都生まれ。日本大学芸術学部在学中から国内ラリーに参戦し、卒業後、雑誌編集者を経てフリーランスに。本誌では創刊時からメインライターとして活躍。その的確な評価とドライビングスキルには定評がある。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員
提供元・CAR and DRIVER
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