夜空を見上げれば、星々が輝く美しい景色が広がっています。
しかし宇宙には、私たちの目では直接見ることのできない現象が隠されているのです。
このほど、欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ユークリッド」が、まさにその隠された奇跡のひとつを捉えました。
発見されたのは「アインシュタインリング(Einstein Ring)」と呼ばれる光の輪っかです。
アインシュタインリングの発見はこれまでにもありましたが、これほど完璧な形状のものが撮影されたの極めて稀だといいます。
アインシュタインリングとは一体どのようにして作られるのでしょうか?
研究の詳細は2025年2月10日付で科学雑誌『Astronomy & Astrophysics』に掲載されています。
目次
- 完璧な「アインシュタインリング」を発見!
- ユークリッドが解き明かす宇宙の秘密
完璧な「アインシュタインリング」を発見!
この発見を主導したのは、独マックス・プランク天体物理学研究所(MPI for Astrophysics)のコナー・オリオーダン(Conor O’Riordan)氏を中心とする研究チームです。
今回の画像はユークリッドが2023年9月の試験観測の中で撮影したものであり、地球から約5億9000万光年離れた場所にある銀河NGC 6505が観測対象とされました。
そして送られてきた画像データを調べたところ、NGC 6505を取り巻くようにして美しい光の輪っかが捉えられていたのです。
この光の輪っかの正体はNGC 6505のさらにずっと背後、地球から約44億2000万光年の彼方にある別の銀河の光であることがわかっています。
その銀河の光が宇宙の「重力レンズ効果」によって曲げられた結果、NGC 6505を取り囲むような円となって見えていたのです。
これを「アインシュタインリング」といいます。
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