次にL(住民の力・熱意・リーダーシップ)に関しては、リーダーシップの実行力(P)と統率力(M)は、地元の地位おこし集団である10名ほどの「筑前若者会」のメンバーにあり、このグループを取り巻く形で町民有志やボランティアが参加したとまとめられる。

三つ目のR(資源)には、地元産の稲の収穫直後に大量に出る稲わらの活用があげられる。他にも土台作りや骨組みで使用された木材も竹などもおそらくは地元産なのであろう。

約4か月で撤去するのは惜しい

「わらゴジラ」の写真を撮りながら、これまでの「巨大わらかがし」が数か月で撤去されたことを踏まえて、せっかくギネス世界記録にも認定されたのだから、どこかで保存していただき、数年間でも公開していただければと願うものである。

筑前町が公表している『第2次筑前町食料・農業・農村基本計画2024~2033(概要版)』でも、「みなみの里の来場者数(年間)」の現状が45.7万人を10年後には50.0万人へ、「ど~んとかがし祭の参加団体数(年間)」の現状32団体を40団体までに増やすという目標が掲げてある。

このギネス認定の「わらゴジラ」は、そのような10年後を目指した「関係人口」増加にも貢献するのではないだろうか。知名度が世界的なゴジラのオリジナルの作品を、筑前町における地方創生という大きな目標にも役立ててほしい。

【参照文献】

金子勇,2011,『コミュニティの創造的探求』新曜社. 金子勇,2016,『「地方創生と消滅」の社会学』ミネルヴァ書房. 金子勇,2018,『社会学の問題解決力』ミネルヴァ書房. 金子勇,2023,『社会資本主義』ミネルヴァ書房. 金子勇,2024a,「『地方創生』の積み上げで時代を動かそう」アゴラ言論プラットフォーム2024年10月20日. 金子勇,2024b,「地方創生」における高齢者の役割」(上)アゴラ言論プラットフォーム2024年10月29日. 金子勇,2024c,「地方創生」における高齢者の役割」(下)アゴラ言論プラットフォーム2024年11月3日. 金子勇・濱田康行,2024,「『地方創生』10年後の課題と方法」アゴラ言論プラットフォーム2024年9月20日. 三隅二不二,1984,『リーダーシップ行動の科学』有斐閣. 柳田國男,1906=1991,「時代と農政」『柳田國男全集 29』筑摩書房:7-227.