それまではずっとベンチャーや中小企業で働いてきたので、ホワイト企業の素晴らしさに最初は感動した。しかし、すぐに自分にはまったく合わないと悟ることになる。
自分としてはとにかく若い時期に少しでもビジネススキルや労働市場で価値のある経験値を稼ぎたいのに、思うように仕事をやらせてもらえないという感覚を覚えるのだ。
意欲は大変高いのにその情熱をぶつける場を取られるというか、「やる気があるのはいいことだが、君が一人で全部仕事をやってしまうと他の人はやることがなくなってしまうよ」と笑われてしまう事もあった。
できれば、残業して忙しい日中に集中できない仕組みをしっかり理解して次につなげたいと思っていたので、ノー残業デーや有給休暇消化の奨励も自分には仕事のじゃまをされているように感じてしまった。
筆者のようなタイプにはホワイト企業は明確に合わない。この場合、悪いのは自分であって会社ではない。要するに相性の問題なのだ。
本当は怖いホワイト企業「自分は短時間労働で休日もしっかり取れ、仕事も簡単で楽々定時で終わるので恵まれている」といった自慢をされることがある。これは余計な老婆心かもしれないが、自分にとっては逆に心配になることもある。
確かにサラリーマンとしては大変恵まれた環境だろう。しかし、どんな会社でも仕事である以上は必ずそこで働く誰かは忙しいのが普通である。「自分は忙しくない」というのはいわば戦力外通告に近いケースも有る。
責任ある仕事を任されず、頭脳労働というより単なる作業ロボとなれば確かに仕事は楽ですぐ終わるだろう。しかし、そのまま年を取れば「年齢不相応の低くて浅いスキルと経験の中高年」が出来上がってしまうことになるので、いざ会社が傾いて転職を余儀なくされた時は厳しい立場に置かれる可能性がある。
◇
自分はとても臆病者な人間なので、もしもそのような立場に置かれると大変不安になるだろう。