そこで、クイーンズランド大学の研究チームは、この課題を克服するためにオオカンガルー(学名:Macropus giganteus)をモデルとし、初の体外受精に挑戦しました。
オオカンガルーは他の有袋類とは異なり、個体数が非常に多く、有袋類の最初の研究対象として最適だったのです。
世界初!体外受精カンガルー胚の誕生
研究チームは、成熟したカンガルーの卵子と精子を採取し、受精させる「細胞質内精子注入法(ICSI)」を採用しました。
ICSIは、顕微鏡を使い、1つの精子を直接卵子に注入する技術であり、人間の不妊治療や家畜の人工繁殖ではすでに広く使用されています。
今回の実験では、カンガルーの卵子にICSIを施し、その後の発育を観察しました。
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その結果、世界で初めてカンガルーの受精卵が試験管内で細胞分裂を開始したことが確認されました。
これは、有袋類の人工繁殖技術における歴史的な一歩です。
研究チームは、今後、受精卵を母体へ移植し、正常に妊娠・出産できるかを検証する予定です。
この技術が確立されるなら、カンガルーだけでなく、絶滅の危機にあるタスマニアデビルやコアラなどにも応用できるかもしれません。
それは、オーストラリアに生息する多くの有袋類の未来を守ることに繋がります。
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参考文献
First IVF kangaroo embryo a major leap for marsupial conservation
https://www.uq.edu.au/news/article/2025/02/first-ivf-kangaroo-embryo-major-leap-marsupial-conservation
Watch: World’s first kangaroo embryo made by humans
https://newatlas.com/biology/first-ivf-kangaroo-embryo/