ヨコハマタイヤのSUV専用プレミアムサマータイヤ「アドバンV61」の比較試乗テストを行なってきたのでお伝えしよう。
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ヨコハマタイヤのSUV用タイヤのポジショニングでは、M+Sの性能を持つジオランダーが広く認知されていると思うが、逆にオンロード専用タイヤはブルーアースXT AE61で対応していた。しかしSUVでも重量がある大型SUVやEV、ハイパフォーマンスなSUVと多様化しているのに対し、対応するタイヤは少なかった。
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そこで国内SUVマーケットを調査し、販売台数やユーザーニーズから、新たなタイヤを用意したのだ。それがアドバンV61だ。このタイヤのマッチングとしては国産のSUVでBセグメントサイズからDセグメントサイズをターゲットにしている。さらにオフロードは除外し、オンロード走行だけをするユーザーがターゲットだ。
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このアドバンV61のヒエラルキーは、アドバンスポーツV107が欧州車のハイパフォーマンスSUVに対応し、その下にアドバンV61がある。そして従来のブルーアースXT AE61という位置付けだ。
すでにこのアドバンV61は国産車に純正採用されており、今回、アフターマーケットへ投入も開始されたのだ。純正採用ではレクサスRZ、RX、LBX、トヨタbz4X、マツダCX-60/80、そして90に標準装着されている。
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市販にあたりユーザーニーズでは、EVやPHEVなど電費も考慮した転がり抵抗、乗り心地、静粛性といった性能が求められているという。
こうして投入されたアドバンV61はブルーアースXTと比較し、レーダーチャード上では、ほぼすべての性能で上回り、とりわけ転がり抵抗では大きな進化をしていることが判る。そのため比較試乗では、トラックの荷台をスロープにして車両を転がし、どこまで進むかテストした。不正がないように、同じ車両でテストし、報道陣の前でタイヤの付け替えをし、空気圧をそれぞれの適正値にしてテスト。乗員は2名で行なった。
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テストは2回行ない、おなじ結果が出ている。ブルーアースXT AE61は55mで停止。アドバンV61は70mで停止という圧倒的な差があったのだ。
次にパイロンを使った特設コースでは30km/hで2種類の段差がある障害物を乗り越え、50km/hでのスラローム、そして大きくロールをさせてターンをし、戻ってくるコースが設定された。このコースをブルーアースXT AE61とアドバンV61との比較を行なった。
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その違いとしては転がり抵抗の違いからなのか、ブルーアースXT AE61おとアドバンV61とでは、滑らかさに違いがあり、アドバン61ではしっとりとした乗り心地を感じ、上質な乗り味に変わることを体感した。そして障害物を乗り越えるテストでは入力される衝撃の収束の速さの違いを感じた。乗り上げたときのいなし方に大きな違いは感じないものの、すぐに振動が収まるかどうかの点でその差を感じた。
スラロームコースに入るとステア初期の応答性とタイヤウォールの横剛性の違いが顕著だ。やはりアドバンV61はしっかり感があり、剛性の高さが感じられ、ステア応答が手に伝わる剛性の違いとして体感する。ノーズの動きなど車両の動きそのものには大きな違いは感じられなかった。
ロールを目一杯させ、ステアを切り込んだ時の操作フィールも、剛性感の違いとして伝わってくる。このしっかりとした感触は安心感とも言えるだろう。
ヨコハマタイヤのフラッグシップブランド「アドバン」だけに、安心感のある走行フィールで、もともと高性能なブルーアースXT AE61に対して、これほどの違いがあるのは意外とも言える。二律背反が多いタイヤ開発ではHAICoLabの存在が大きいのだろう。
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