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RobinOlimb/iStock
共産党は機関紙『赤旗』で『大軍拡反対』を宣伝している。すなわち、「自民党政権による敵基地攻撃能力を含む違憲の大軍拡は、日本を対中軍事戦略の最前線に立たせるという米国の要求にこたえるためであり、際限なき軍事費増大は戦前の戦時国債乱発による侵略戦争の反省を無視した財政民主主義を破壊する暴挙である」(『赤旗』2025年2月1日、2月3日)などと自民党政権を激しく攻撃する。
共産党が反対する「大軍拡」とは、自民党岸田政権が2022年12月に策定した「安保3文書」に基づく反撃能力保有などを含む防衛力の抜本的強化を指すものである。具体的には米国製長距離巡航ミサイル・トマホーク取得、射程1000キロ超国産各種ミサイル開発取得、イージス・アショアに代わるイージス・システム搭載艦建造、軍事衛星コンステレーション構築などによる防衛費8兆7000億円の予算を意味している。
自民党政権による防衛力強化の原因共産党の宣伝によれば、ロシアによるウクライナ侵略前の2022年度の軍事費は5兆4000億円であったが、侵略後の2023年、2024年と軍事費は年々増大し、2025年度には8兆7000億円になり、2022年度に比べ3兆3000億円も増加している(『赤旗』2025年2月3日)。
しかし、このことからも、自民党政権による防衛力強化、防衛費増大が2022年2月のロシアによるウクライナ侵略が最大の原因であることは明らかである。
ところが、共産党は自民党政権による防衛力強化の最大の原因であるウクライナ侵略にはまったく触れず、「大軍拡」による軍事費増大の原因は上記の通り「日本を対中軍事戦略の最前線に立たせるという米国の要求にこたえるためである」と断定し、「対米従属」「日米同盟至上主義」を激しく攻撃するのである。
「ウクライナ侵略」を無視する共産党このように、自民党政権による防衛力強化の最大の原因がロシアによる「ウクライナ侵略」であるにもかかわらず、共産党がこれを無視する理由はこれを認めると「大軍拡反対」の根拠がなくなるためである。その根底には共産党のイデオロギーである「非武装平和主義」がある。共産党は党綱領で「自衛隊違憲解消」と「日米安保廃棄」を主張しているのである。