バチカンの基本的立場は明確だ。赦しのサクラメント(秘跡)は完全であり、傷つけられないもので、神性の権利に基づく。例外はあり得ない。それは告白者への約束というより、この告白というサクラメントの神性を尊敬するという意味からだ。

②「時効」問題 ドイツのローマ・カトリック教会アーヘン司教区で2024年11月18日、同司教区が聖職者の性犯罪に関連した慰謝料請求訴訟2件の「時効」を主張し、それが認められたことに抗議して約400人がデモを行った。抗議イベントには、カトリック信徒の代表機関である教区評議会や複数のカトリック団体が支援を表明した。アーヘン地方裁判所は今年7月、聖職者に性的虐待を受けた被害者2人による訴えを棄却した。2人の原告は控訴を予定しており、ケルン高等裁判所に訴訟費用の援助を申請中だ。

アーヘン司教区の性的暴力独立調査委員会(UAK)議長で社会学者のトーマス・クロン教授は、司教区の委員会を批判、「被害者たちは、長い間虐待について語ることができなかったため、十分な時間があったとは言えない」と指摘した。また、ボンの教会法学者ノルベルト・リューデケ氏も司教区を批判し、「隠蔽によって長期間にわたって真相解明を遅らせた組織が、今度は『終止符』を打とうとする戦術で責任から逃れようとしている」と述べている。

ちなみに、ドイツにおける性犯罪の時効期間は、犯罪の種類や重さ、被害者の年齢に応じて異なる。軽度の性犯罪(性的嫌がらせなど)は通常3~5年で、性的暴行(強姦や性的虐待など)は10~20年となっている。特に未成年者に対する性犯罪の場合、時効の開始は、被害者が30歳に達するまで延期される。特に重大な強姦事件などでは、時効は20年以上となる場合もある。ドイツでは2015年に法改正が行われ、未成年者への性犯罪の時効期間が延長された。性犯罪における時効は多くの議論を呼んでおり、被害者が事件について話すまでに時間がかかる場合が多いことから、時効撤廃やさらなる延長を求める声も上がっている。