【最新モデル試乗】上質な電動SUVの代表「三菱アウトランダーPHEV」が、イメージ変わらず実力大幅アップ
三菱アウトランダーPHEV・Pエグゼクティブパッケージ(7名乗り)/価格:668万5800円。最新モデルは駆動バッテリーの大幅改良で走りを大幅刷新。内外装もキメ細かなリファインで上質に変身している。(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

足回りがしなやかに変身。走りは一段と素晴らしい

 各部が改良された最新のアウトランダーPHEVを公道でドライブする機会を待っていた。試乗車は、装備が充実した新設定の最上級グレード、Pエグゼクティブパッケージだ。

アウトランダーはこれまでも完成度が高かった。変える必要があるのだろうかとさえ思っていた。ところが、ひと足早くサーキットで新型プロトに乗って驚いた。想像以上に大きく進化し、よくなっていたからだ。公道でも素晴らしい走りが味わえるに違いないと期待していたら、やっぱりそうだったというのが第一印象である。

 注目していた乗り心地は、大幅にしなやかで上質になっていた。ショックと車体の揺れの低減、そしてしっかり感の向上を目指したという開発陣の説明どおり、路面の段差や凹凸を乗り越えたときの感覚がだいぶ違っている。従来はツンツンと路面の影響を受けやすかった。新型は引き締まっていながら初期のストロークが素直だ。足回りがよく動いて、キャビンまで入力が伝わりにくくなっている。無駄な動きが減りフラット感が増したおかげで高速巡行時の視線のブレが小さいことも印象的だった。

【最新モデル試乗】上質な電動SUVの代表「三菱アウトランダーPHEV」が、イメージ変わらず実力大幅アップ
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
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(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 20インチタイヤを標準装着する点は、アウトランダーPHEVの魅力である。その半面、乗り心地面で不利な点もあった。新型はその弱点をほぼ解消。20インチでここまでリファインできるとは恐れ入った。

 ハンドリングの味付けも確実に変わっている。これはサーキットでも確認済み。従来モデルは、とくにターマックモードで面白いように曲がる味付けで楽しかった。だが適度に落ち着いた新型のほうが挙動は乱れにくい。それでいて、回頭性のよさと走りの一体感は十分に高い。決して鈍くなったわけではないのがいい。直進安定性が一段と高まった点にも注目。ステアリングの重さが増し、とくに高速巡行時には操舵支援機能のアシストなしでも安心できる。

パフォーマンス優秀。完成度は欧州プレミアム勢と同等以上である

 新型の加速フィールは逞しい。洗練されて、より力強さと扱いやすさが際立つとともに、これまで以上に静かで滑らになっている。
 エンジンがいつ始動し止まったのかは、70km/hほど車速が出ていると他の音にまぎれてまったくわからない。ディスプレイの表示を見ないと確認できないレベルに達している。本当に静かだ。その恩恵で、目玉のひとつであるヤマハと共同開発した高性能オーディオが生きる。臨場感たっぷりのサウンドが満喫できるのがうれしい。

【最新モデル試乗】上質な電動SUVの代表「三菱アウトランダーPHEV」が、イメージ変わらず実力大幅アップ
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
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(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 性能的にも確実に向上した。新開発の駆動用バッテリーは、大容量化と高出力化により単体出力で60%、システム総出力は20%増加し確実に余裕が増した。走りがよくなったうえにEV航続距離が102kmと大幅に長くなった点は、ユーザーが日常的に使い込むほどに満足度が高まるに違いない。

 新型は欧州市場への進出を視野に入れて設計されている。アウトバーンでの180km/h巡行や、最もキツイという130km/hから180km/hまで再加速するような走り方にも十分に対応できるキャパシティを確保した。今回、多少の上り勾配が続くワインディングを走ってみたが、それくらいはものともしないパフォーマンスの持ち主である。

 ドライブモードの選択によって走りの性格が変化するのも魅力だ。これまでやや過敏な印象があったノーマルモードがほどよく抑えられて扱いやすくなったのは歓迎である。パワーモードはこれまでどおり速くスポーティ。サーキットでは、思ったほど変わらない気もしたが、公道で乗ると違いは明白だ。回生ブレーキの強さがきめ細かく選択できるようになっているのも重宝する。

【最新モデル試乗】上質な電動SUVの代表「三菱アウトランダーPHEV」が、イメージ変わらず実力大幅アップ
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
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(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 スタイリングは、やはり力強く存在感がある。「威風堂堂」をコンセプトに掲げ、ユーザーから好評だというデザインをあえて大きく変えなかった方針は見識が高いと思う。その中でホイールや前後の意匠、灯火類にさりげなく最新モデルならではのエッセンスを盛り込んでいる点は巧みだ。

 インテリアはナビゲーション画面大型化やコネクティッド機能の強化、フレームレスのデジタルルームミラー、アルミペダルの採用など細かいところまで手を加えて装備の充実と質感の向上を図った。試乗車のPエグゼクティブパッケージにはリフレッシュ機能やベンチレーション機能を備えたセミアニリンのレザーシートを装備。

 注目はヤマハと共同開発した最上級オーディオ、アルティメットである。音楽を聴きながらのドライブを好むユーザーは一聴の価値がある。

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(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
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 ほぼ670万円の価格は、一見すると高く感じられるかもしれないが、内容を考えるとそうでもない。むしろ、割安にさえ感じられる充実ぶりだ。

 現行アウトランダーPHEVは三菱車としてかつてないほど、輸入プレミアムSUVを愛用してきたユーザー層から注目されているモデルだ。アウトランダーPHEVは、まもなく輸入SUVの本拠地、欧州をはじめオーストラリアやニュージーランド、北米などに投入されることが決まっている。
 ライバルはもちろん強敵ぞろいである。だがアウトランダーPHEVは環境性能や、三菱独自のオフロード走破性など、彼らにはないプラスの価値を持っている。十分にわたりあえるに違いない。日本の「雄」として国内外で立派に戦ってくれるよう応援している。

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(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
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(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
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(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

提供元・CAR and DRIVER

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