アメックスの「スカイ・トラベラー・カード」はポイント還元率が常時1%、飛行機チケット購入でポイント3倍、貯めたポイントは15の航空会社のマイルに交換できる。他にも旅行関係の様々な特典やサービスが充実しているクレジットカードだ。海外旅行好きなら検討したいこのカードの魅力を紹介しよう。

高還元率で空の旅が多いほどにお得感を味わえるクレジットカード

特に海外へ渡航する機会の多い人ならば、マイルの貯まりやすいカードを持つ恩恵は大きいだろう。その1つがアメックスのスカイトラベラーカード(アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・カード)。その名の通り空の旅が多い人に向けたものになっており、航空便利用で効率よく貯まるポイント、高いレートでのマイル移行のほか、空の旅に便利でお得な特典・サービスも充実している。

アメックス・スカイトラベラーカードの基本スペック

国際カードブランド アメリカン・エキスプレス
年会費 1万円(税別)
申し込み対象 20歳以上で定職がある方(パート・アルバイト不可、年金受給者可)
アメックスのほかのカードを持っている方は不可
利用可能枠 個々の会員ごとに異なる
追加カード 家族カード(年会費5,000円・税別)
ETCカード(年会費無料、新規発行手数料850円・税別)

アメックス・スカイトラベラーカードのポイント還元率

対象 還元率
27航空会社の航空便チケット 3%
2社の旅行代理店の指定商品 3%
その他、通常ショッピング 1%
ボーナス・ポイント
パートナーズ提携店での利用
2~10%

カードの年会費は1万円(税別)で、家族カードの年会費は5,000円(税別)。アメックスのカードをすでに持っている場合は申し込めない。アメックスのカードすべてに共通することだが、カード種別ごとの利用可能枠の設定は特に存在せず、個々の会員の利用状況や支払い実績によって利用可能枠は決められる。

スカイトラベラー3倍ボーナス対象は航空会社27社、旅行代理店2社

アメックス・スカイトラベラーカードの最大のメリットは、航空便の利用でポイントが貯まりやすいことだ。貯まるポイントはアメックスのメンバーシップ・リワードで、27社の対象航空会社での航空券購入か、2社の対象旅行代理店での指定商品購入時に付与されるポイントが通常の3倍、100円につき3ポイントとなる。

ただし、この3倍ボーナスは、通常ポイントと合わせて年間(1月~12月)6万ポイント(カード利用額200万円相当)が上限となる。対象となる航空会社と旅行代理店・旅行商品は以下の通り。

3倍ポイント対象航空会社(2018年11月現在)

アシアナ航空 アリタリア-イタリア航空 エア タヒチ ヌイ
ANA エールフランス航空 エティハド航空
エバー航空 エミレーツ航空 オーストリア航空
ガルーダ・インドネシア航空 カンタス航空 キャセイパシフィック航空
KLMオランダ航空 シンガポール航空 スイス インターナショナル エアラインズ
スカンジナビア航空 スターフライヤー タイ国際航空
大韓航空 チャイナエアライン デルタ航空
日本航空 バニラエア フィリピン航空
フィンランド航空 ブリティッシュ・エアウェイズ ルフトハンザ ドイツ航空

3倍ポイント対象旅行代理店と指定旅行商品(2018年11月現在)

日本旅行 上記の対象航空会社の航空券、パッケージツアー、
前払いで手配されるホテルなどの宿泊代金、JR・バスのチケットの購入
アップルワールド 前払いで手配されるホテルなどの宿泊代金

マイル移行は1,000ポイント→1,000マイル単位 

そのほか航空券や旅行商品以外の一般的なクレジット利用では100円につき1ポイント貯まる。ボーナスポイント・パートナーズの提携店でカードを使うと、通常の2倍~10倍のポイントが付与される。

ボーナスポイントもいくつか設定されており、

  • まず入会時に3,000ボーナスポイントが付与
  • 入会1年以内に、先に挙げた対象航空会社か対象旅行代理店で航空券や旅行商品をカードで初回購入すると「ファーストトラベル・ボーナスポイント」として5,000ボーナスポイントが付与
  • 毎年のカード継続時に1,000ボーナスポイントが付与

    となっている。このカードで貯まるメンバーシップ・リワードには有効期限がないので、じっくり貯めて大きく使うことも可能だ。

    貯めたポイントは先に挙げた対象航空会社か対象旅行代理店で1ポイント→1円として、それ以外の旅行代理店やホテルでは1ポイント→0.8円として支払いに使えるほか、カード利用代金支払いに1ポイント→0.3円として使えるが、マイルに移行するのがもっとも交換率が良い。

    ポイントは下記の提携航空会社のマイレージプログラムへ1,000ポイント→1,000マイル単位で交換可能だ。

ポイントからのマイル移行が可能な航空会社とマイレージプログラム名

航空会社 マイレージプログラム名
アリタリア-イタリア航空 クラブ・ミッレミリア
ヴァージン アトランティック航空 フライングクラブ
ANA ANAマイレージクラブ
エティハド航空 エティハド ゲスト
エミレーツ航空 エミレーツ・スカイワーズ
エールフランス/KLM航空 フライングブルー
カタール航空 プリビレッジクラブ
キャセイパシフィック航空 アジア・マイル
シンガポール航空 クリスフライヤー
スカンジナビア航空 SAS ユーロボーナス
タイ国際航空 ロイヤルオーキッドプラス
チャイナエアライン ダイナスティ・フライヤー・プログラム
デルタ航空 スカイマイル
フィンランド航空 フィンエアー・プラス
ブリティッシュ・エアウェイズ エグゼクティブ・クラブ

マイル還元率は最大3%!1年で沖縄への特典航空券が手に入る!?

ポイント3倍対象の航空会社や旅行代理店での利用分をマイルに交換した場合、100円の利用→3ポイント獲得→3マイルに移行というレート換算に。マイル還元率は3%(100円の利用につき3マイルを獲得)の超還元率だ。その他ショッピングなどのクレジット利用でも、100円の利用→1ポイント獲得→1マイルに移行というレート換算となるため、マイル還元率は1%。

一般的なクレジットカードのポイント還元率が0.5%、高還元率といわれるカードでも1%程度ということを考えれば、マイルへ移行するのが前提ならば、屈指の高還元率クレジットカードといっていいだろう。

カード利用による特典航空券獲得シミュレーション

では具体的にどれくらいポイントが貯まり、移行したマイルで交換できる特典航空券でどこまで行けるのか。

  • 月に10万円を決済し(年間120万円)
  • 年に2回はそれに加え3倍ポイント対象の航空会社・旅行代理店で各回10万円の航空券・旅行商品を購入

    という前提でシミュレーションしてみた。

1年目獲得ポイント

入会時ボーナスポイント 3,000ポイント
ファーストトラベル・ボーナスポイント 5,000ポイント
通常ポイント 1万2,000ポイント
3倍ポイント 6,000ポイント
合計 2万6,000ポイント

さらに、2年目についても同様の条件で試算。

2年目獲得ポイント

継続時ボーナスポイント 1,000ポイント
通常ポイント 1万2,000ポイント
3倍ポイント 6,000ポイント
合計 1万9,000ポイント

貯めたポイントは1,000ポイント→1,000マイルの単位で移行できるので、1年間貯めると2万6,000マイルを、2年間貯めると4万5,000マイルを獲得できる。

貯めたマイルは特典航空券に交換したり、座席のアップグレードに使えたりするが、その詳細は各マイレージプログラムで対応が異なる。参考までにエールフランスとANAのマイレージプログラムで、片道特典航空券(エコノミークラス)交換のために必要な最小マイルを紹介しよう。

エールフランス(成田発)

台北 1万6,500マイル
香港 1万7,500マイル
バンコク 1万9,500マイル
クアラルンプール 2万3,000マイル
パリ 3万6,000マイル
ハワイ・ホノルル 4万5,000マイル
シドニー 4万6,000マイル
ロサンゼルス 4万6,000マイル
ニューヨーク 4万6,000マイル

ANA

東京-沖縄 7,000マイル
日本-中国・フィリピン 1万7,000マイル
日本-東南アジア 3万マイル
日本-オセアニア 3万7,000マイル
日本-北米 4万マイル
日本-欧州 4万5,000マイル

先ほどのシミュレーションでいうと、1年間のカード利用で獲得したポイントによって、東京-沖縄往復の特典航空券にほぼ2回交換でき、また、東アジアや東南アジア各国への片道航空券にも交換できることになる。

また、2年間ポイントを貯めると、オセアニア、北米、ヨーロッパへの片道特典航空券にも手が届く。ただし、ANAのマイルに移行するには、「メンバーシップ・リワードANAコース」への参加が必要で、その参加費として年間5,000円(税別)を支払う必要がある。

これは2年目以降自動更新となるが、しっかりポイントを貯めて移行するときだけ参加し、自動更新はしないというやり方だと無駄がない。クレジットカードで支払えるものをすべてカード決済していれば、利用額はさらに増えるだろうから、実際にはもっと早く特典航空券を入手することも可能だろう。

空港ラウンジ利用やレンタカー、ホテル予約などの優待・サービスも充実

アメックス・スカイトラベラーカードはマイルを獲得しやすいだけではない。空の旅に便利でお得な特典・サービスも付帯している。

空港ラウンジサービス

国内28空港と、ハワイ・ホノルルの空港ラウンジを会員と同伴者1名まで無料利用できる。このサービスを利用できる国内空港は以下の通り。
 

新千歳空港 函館空港 青森空港 秋田空港
仙台空港 新潟空港 富山空港 成田国際空港
羽田空港 中部国際空港 小松空港 大阪国際空港
関西国際空港 神戸空港 岡山空港 広島空港
米子空港 山口宇部空港 徳島空港 高松空港
松山空港 福岡空港 北九州空港 長崎空港
大分空港 熊本空港 鹿児島空港 那覇空港

手荷物無料宅配

海外旅行からの帰国時に空港から自宅までスーツケース1個を無料宅配できる(対象空港:成田国際空港、中部国際空港、関西国際空港)。

大型手荷物宅配優待特典

海外旅行時、ダンボールや自転車など大きな手荷物を送ることのできる大型手荷物宅配を、定価より1,000円(税込)割引する(対象空港:成田国際空港、中部国際空港)。

空港パーキング優待

空港周辺のパーキングを優待料金で利用できる。

海外用レンタル携帯電話

海外用レンタル携帯電話の日額を半額で、通話料を通常の10%割引で提供する(対象空港:成田国際空港、関西国際空港、羽田空港・国際線ターミナル)。

レンタカー/カーシェアリング優待

国内の指定レンタカー会社で基本料金から5%オフで利用できる。また、カーシェアリングサービス「タイムズ カーシェア」の会員手数料が無料になる。

旅行予約サイト優待

  • 「Expedia」で海外・国内ホテル8%オフ
  • 「アップルワールド.com」で世界約10万軒のホテルを最安値よりさらに5%オフ
  • 「一休.com」でカード会員限定特典付のプラン提供
  • 「日本旅行」の“特選の宿”が5%オフ

    などの優待が適用される。

アメリカン・エキスプレス・トラベル オンライン

ホテル、レンタカー、国際線航空券などをオンライン予約でき、割引情報なども紹介されるカード会員専用の旅行予約サイト。メンバーシップ・リワードのポイントを旅行代金の支払いに充当できる。

海外での日本語サポート「グローバル・ホットライン」

海外の旅行先から利用できる日本語によるサポートセンターが利用でき、レストランの予約などのほか、医療機関の紹介など緊急時の支援まで、世界中のほとんどの国から24時間通話料無料、またはコレクトコールで電話連絡できる。

チケット先行販売やUSJのVIPツアー、グルメ情報などの特典

トラベル関係以外の特典・サービスも付帯する。

USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)

ガイドツアー「ユニバーサルVIPツアー」や、ハリー・ポッターアトラクションの入場確約券付き「ロイヤル・スタジオ・パス」のアメックス会員専用申し込み枠確保のほか、パーティプランなども用意される。

ダイニング・トレンド

アメックスとグルメ情報ウェブサイト「ぐるなび」が共同開発したレストラン検索ウェブサイト。毎週更新のライフスタイル記事「トレンド・レポート」のほか、カード会員限定の特典などを紹介する。

海外・国内旅行傷害保険、航空便遅延費用補償、ショッピング保険も充実

旅行に特化したカードだけあり、旅行傷害保険も充実している。

旅行傷害保険

旅行代金をカードで支払うと海外最高3,000万円・国内最高2,000万円の旅行傷害保険が付帯する。なお、この保険には会員の家族にも自動的に補償が適用される家族特約もついている。保険内容は以下の通り。
 

保険金の種類 カード会員 カード会員の家族
国内旅行 傷害死亡・後遺障害保険金 最高2,000万円 最高1,000万円
海外旅行 傷害死亡・後遺障害保険金 最高3,000万円 最高1,000万円
傷害治療費用保険金 最高100万円
疾病治療費用保険金 最高100万円
賠償責任保険金 最高3,000万円
携行品損害保険金

(免責3,000円/
年間限度額100万円)

1旅行中 最高30万円
救援者費用保険金 保険期間中最高200万円

航空便遅延費用補償(海外旅行のみ)

海外旅行の代金をカードで支払うと、航空便が遅延した場合に臨時に出費した宿泊料金や食事代が補償される。また、手荷物の到着遅延や紛失により負担した衣類や生活必需品の購入費用も補償される。
 

保険対象 内容
乗継遅延費用 1回の到着便遅延について最高2万円
出航遅延、欠航、
搭乗不能費用
1回の出航遅延、欠航もしくは運休
または搭乗不能について最高2万円
受託手荷物遅延 1回の受託手荷物の遅延について最高2万円
受託手荷物紛失 1回の受託手荷物の紛失について最高4万円

ショッピング・プロテクション

国内外においてカードで購入した商品について、破損・盗難などの損害を購入日から90日間、年間最高200万円まで補償する(免責金額:1事故につき1万円)。

空の旅が多いかどうかでこのカードの価値は変わってくる

以上見てきたように、マイルの部分を除けば一般カードとゴールドカードの中間的な内容のカードといっていいだろう。空港ラウンジサービスについてはゴールドカード相当のサービスといえるが、海外最高3,000万円、国内最高2,000万円という補償内容の旅行傷害保険は、年会費1万円のゴールドカードと見なした場合は少々物足りない印象がある。

ただし、マイルを貯めるためのカードと考えれば話は別で、このカードは対象航空会社における航空券購入で得たポイントをマイル移行するときには、マイル還元率3%、ポイント還元率換算なら6%という超高還元カードとなる。

そのため空の旅が多い人であれば、年会費1万円以上のリターンを得られるカードであることは間違いない。スカイトラベラーカードという名が示すように、空の旅が多くマイルを積極的に貯めたい人に特化したカードだ。

文・モリソウイチロウ(ライター)
 

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