不妊治療するってなったらまず「北京で一番高名な」お医者さん以外眼中になく、そこにコネを使って予約をねじ込んでもらい、それでもしばらく授からないとわかると今度は「世界で一番高名なニューヨークのクリニック」にまたこれコネで予約をねじ込んで、実際そのNYの病院の近くのアパートを買っちゃって不妊治療するみたいな。

奥さんはガチ中国育ちなので、そういうニューヨークのお医者さん相手でも「接待攻勢」をかけまくらないとちゃんと診てもらえないだろう・・・と必死にアレコレやろうとして、先方が困惑してるのを見て旦那さん(筆者)は少し気恥ずかしい思いをした・・・とかいうところとかすごいリアルでした。

あと面白かったのは、「ステータス大事」な中国らしい話として「自家用車のナンバープレートを3000万円で買う」っていう話が(笑)

「京A80027」っていうプレートなんだけど、「A」は北京の都心で登録された事を示し、次の「80」は所有者が国務院の部長クラス以上であることを示し、「027」という若い暗号は国務院(中国の内閣)と何らかの繋がりがあることを暗示しているらしい。

で、そういう「特権的なナンバープレート」があると、バス専用レーンや歩道を走れるし、違法なUターンや信号無視もお咎めなしになり、気に入ったレストランの前の駐車禁止区域に停めていても平気らしい。

本全体としてあまりに常識を超えてる話が沢山出てくるんですが、著者は「中国ビジネスをする外資系」もわかっていてこの「輪」の中に入って暴利を貪っていたじゃないか、というような批判的なことも結構書いてますね。

最初にビジネスを始めた時に筆者は香港のプライベート・エクイティにいたんですが、本来は輸入ビールには高い関税がかかるはずなのに、筆者の会社の投資先の会社だけは「なぜか」無税で輸入できたりして・・・(有力者との関係があるとそれができるらしい)

でも、投資先がすごいグレーなことをやっていても、投資してる香港の会社とかシンガポールの会社とかアメリカの会社は「そういうのは知らないフリ」をして儲けていたらしい。