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Rafmaster/iStock
5月には底をついたわが国の新規コロナ感染者数は、再び増加傾向を示しており、11波の襲来が懸念されている。
現在、コロナ治療薬はどのように位置付けられているだろうか。成人の外来診療におけるコロナ治療薬の選択を、厚労省が監修する診療の手引きに従って示す(図1)。高齢者や基礎疾患を持つ患者のほか、肥満、喫煙歴、高血圧や糖尿病などの重症化リスクがある場合は、抗ウイルス薬、なかでも、ニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッド)の投与が第一選択とされている。
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図1 成人の外来診療における抗ウイルス薬の選択 新型コロナウイルス感染症診療の手引き、第10.1版
ニルマトレルビルはファイザー社が開発したプロテアーゼ阻害剤であり、ポリタンパク質の切断を阻止することで、ウイルスの複製を抑制する。リトナビルは、ニルマトレルビルの代謝を抑えることで、血中濃度を維持する。