今国会の最大の争点、年金改革法案が迷走しています。自民党からも「こんな大増税では参院選が戦えない」という反対論が出て、厚労省は施行期間を5年から10年に延ばしました。

それでも財界も連合も反対し、今国会に提出できるかどうかわからなくなってきました。この稀代の悪法はどうなるのか。音喜多駿さんと一緒に問題点を解説します。

【出演】 音喜多 駿(前参議院議員) 池田 信夫(アゴラ研究所所長)

🎯 年金改革法案の問題点と議論のポイント

✅ 年金改革法案は、企業負担増 → 労働者の給与引き下げにつながる。 ✅ 国民年金の財政悪化を補うため、厚生年金の積立金(65兆円)を流用。 ✅ 「マクロ経済スライドの調整期間の一致」で厚生年金の負担が10年延長。 ✅ 2025年の参議院選挙で、この法案の行方が決まる可能性が高い。 1️⃣ 年金改革法案の概要 厚生年金を従業員50人以下の中小企業のパート労働者にも拡大する。 2035年までに段階的に実施し、最終的にすべての企業で適用する。 企業の負担が増えるが、最終的には労働者の給与が引き下げられる可能性が高い。 2️⃣ 最大の論点:厚生年金の適用拡大 中小企業の従業員(週20時間以上働く)に適用され、740万人が強制加入 となる。 企業負担増 → 給与引き下げや雇用縮小のリスク がある。 年金受給額が増えても、90歳以上生きないと元が取れない。 3️⃣ 「労使折半でお得」は本当? 厚生年金は労使折半(企業が半分負担)だからお得というのは錯覚。 実際は、事業主負担も人件費の一部。 労働者の給与が徐々に下がり、実質的に18.3%がすべて従業員負担になる。 特に、中小企業にとって負担増が経営圧迫の要因になる。 4️⃣ 基礎年金の赤字を埋める137兆円の大増税 国民年金の納付率が約44% に低下 → 収支が悪化。 その穴埋めとして、厚生年金の積立金65兆円を国民年金に流用 しようとしている。 その他にも国庫負担65兆円で、今度100年間で合計137兆円の負担増。 5️⃣ 「マクロ経済スライドの調整期間の一致」のカラクリ 本来なら厚生年金の給付は 2026年で削減終了 するはずだった。 国民年金の財政悪化により2036年まで延長。 結果として、厚生年金加入者が国民年金の赤字を肩代わりする 形に。 6️⃣ 年金財源の問題と消費税増税の議論 民主党政権が最低保障年金を提案したが、自民党が廃止。 河野太郎氏が2021年の総裁選で最低保障年金を提案 → 自民党内で反発。 消費税を上げて国民年金保険料をゼロにすれば低所得者の負担は軽減される。 7️⃣ 今後の動き:政治的な対立と選挙への影響 2025年の参議院選挙の争点になる可能性が高い。 改革派(河野太郎氏など) vs 現行制度維持派 の対立が激化。 🔑 キーワード 年金改革法案 厚生年金の適用拡大 国民年金の財政危機 マクロ経済スライド 社会保険料の負担増 最低保障年金 消費税増税 vs 社会保険料引き下げ 2025年参議院選挙

【追記】「厚生年金が90歳ぐらいで元が取れる」というのは本人負担9.15%を分母にした計算で、事業主負担も含めた18.3%を分母にすると、110歳ぐらい生きないと元は取れない。