時の流れを止めることはできないが、自分の身体を“一時停止”できるようになるかもしれない。冷凍保存で加齢をいったん保留した肉体が、任意の未来で生を再スタートする最新の技術が現実味を帯びはじめてきている。
■冷凍保存によって人生を“一時停止”
生成AI科学者でアンチエイジング研究者のアレックス・ザヴォロンコフ博士と分子生物学者のハシェム・アルガイリ氏によって提案された「TimeShift」は世界初の冷凍保存施設であると説明されており、最先端のAIと新たな冷凍保存技術をベースにした画期的なコンセプトである。
このアイデアが実現すれば、冷凍保存によってがん患者は医学が進歩するまで自分自身の人生を“一時停止”させたり、人類滅亡イベントをやり過ごすことができるのかもしれない。
人間の肉体が冷凍されている間、AIが当人の“アバター”を登場させ、家族や友人とのコミュニケーションを継続させることもできるという。
「このプロジェクトはまだ研究開発段階です。現在の主な焦点は、アレックス・ザヴォロンコフ博士が開発した冷凍保存プロセスの最適化を継続することです」とアルガイリ氏は説明している。
「完全に最適化されたら、動物モデルでテストし、そこから進めていく予定です」(アルガイリ氏)
これまでにも人体の冷凍保存は実施されているが、アルガイリ氏によれば従来の方法は効果がなく、細胞死につながるという。しかし新しい方法はこの問題を回避するようにAIによる管理システムが導入されているということだ。
「プロセスを最適化した後、次のステップではその有効性と安全性をテストします。具体的な期限はありませんが、すべてが計画どおりに進んだ場合、5年から8年以内に機能的なプロトタイプが完成する可能性があります」(アルガイリ氏)
「TimeShift」は冷凍された人々がより健康に目覚めることができる“冬眠前”の健康改善も提供したいと考えている。
一方、アレックス・ザヴォロンコフ博士は「過去10年間で、世界中のさまざまな研究室でさまざまな技術が進歩し、現在は急速極低温凍結および再加温プロトコルの複数のパラメータの最適化が課題となっています」と語る。
「より多く生きる能力を得るという夢の実現は、今や時間の問題です」(ザヴォロンコフ博士)
AIと冷凍保存を組み合わせることで、何十年も家族や友人と親密な関係を保てるようになる未来が思い描かれているということだ。
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また個人の保存にとどまらず「TimeShift」は臓器の保存を改善し、生物多様性を守り、災害時の人類の継続性を確保することで、業界を変革する可能性もあるという。
映画『2001年宇宙の旅』では宇宙旅行で人間が“コールドスリープ”している様子が描かれているが、将来の宇宙船に「TimeShift」が装備されたとすれば、まさに未来の「ノアの方舟」になるのかもしれない。ともあれ5年から8年以内に完成するというプロトタイプの登場に期待してみてもよいのだろう。
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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