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2026年6月11日から7月19日にかけて、アメリカ、カナダ、メキシコの3カ国で共同開催されるFIFAワールドカップ(W杯)北中米大会。W杯予選も徐々に盛り上がりをみせているが、北アイルランドのクイーンズ大学ベルファスト研究チームは、16の開催スタジアムのうち14会場で試合中に危険な暑さに達する可能性があることを指摘している。1月30日に報道を通じ発表された。
研究チームは過去20年分の気象データを分析し、開催地の夏の平均気温を調査。その結果、湿球黒球温度(WBGT)が危険水準とされる28°Cを超えた日が、メキシコシティとバンクーバーを除くすべての開催都市で記録されていたことが判明した。特に、マイアミとモンテレイはエアコン設備のないスタジアムであり、選手や観客にとって最もリスクが高いとされている。また、カンザスシティ、ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィアでも午後の試合は避けるべきだと提言された。
国際サッカー連盟(FIFA)は、まだ試合のキックオフ時間を発表していないが、欧州やアジアの主要市場の視聴者数を優先し、早い時間帯に試合を設定する可能性がある。しかし、研究を主導した気候科学者のドナル・ムラン博士は「正午から午後6時の時間帯は避けるべきだ。この時間帯を外すだけで、極端な暑さによるリスクを大幅に減らせるはずだ」と述べ、早朝や夜遅い時間帯での開催を推奨している。
前回2022年のカタールW杯は、猛暑を考慮して史上初めて冬季開催となったが、2026年大会は真夏の開催。特に、最も気温が高くなると予想されているダラスとヒューストンのスタジアムは空調設備があるものの、試合後に観客が冷房の効いたスタジアムから猛暑の屋外に出ることで体温調整が難しくなり、熱中症のリスクが高まる可能性が心配されている。