カラ=ムルザ氏は、「犯罪者はその行為で罪を償わなければならないが、私は政治的見解のために刑務所にいる。モスクワの裁判は1930年代のスターリンの見世物裁判のようだ。自分が言ったり、書いたことはすべて事実であり、それを誇りに思っている」と述べている。

なお、彼の弁護士によると、懲役25年は、プーチン大統領を批判した人物に対する、知られている限り最長の懲役刑だ。同氏はプーチン大統領の最も厳しい批評家の1人と考えられている。彼は長年、クレムリンに対する西側の制裁を求める運動を行っていた。同氏はナワリヌイ氏や、2015年2月に殺害された野党政治家のボリス・ネムツォフ氏(当時56)と親しかった。家族と弁護士によると、カラ=ムルザ氏は過去2度、2015年と17年に毒殺未遂により神経疾患の多発性神経障害を患っているという。

カラ=ムルザ氏の妻、エフゲニヤさんはオーストリア国営放送とのインタビューの中で、「彼も亡くなったナワリヌイ氏と同様、モスクワに戻れば生命の危険があることを知っていたが、ロシアに帰国した。彼はロシアは本来もっと良くなるべき国だ、と信じていたからだ」と証している。

BBCは2023年4月18日、「カラ=ムルザ氏は、ソ連時代の有名な反体制派の家庭の出身。父親のウラジーミル・シニアもクレムリンを批判していた。10代で母親とイギリスに渡り、英国籍を取得。ケンブリッジ大学に進んだ。ジャーナリズム界で働いた後、ロシアの著名な反体制派指導者で政治家のボリス・ネムツォフ氏の顧問になった。ネムツォフ氏は2015年、モスクワで暗殺された。カラ=ムルザ氏自身も2度にわたって毒殺されかけ、回復のため家族とともにアメリカに移住した。その後、ロシアに戻り、同国のウクライナ侵攻後は身の危険が高まったが、ロシアにとどまり続けた」と報じている。

なお、エフゲニヤ夫人はBBCの取材に対し、「私は彼の信じられないほどの誠実さを愛するとともに憎んでいる。彼は(戦争反対を訴えて)街頭に出て逮捕された人たちと一緒にいなければならなかった」と述べている。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年2月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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