日本の安全保障はその原点を理解しないと国民の理解は進まないでしょう。経済安全保障保護法案が今国会に提出される見込みです。これは日本でよく見られる海外への情報漏洩を防ぐことが盛り込まれています。重要な安保情報を民間と共有する際、民間企業、研究者といった対象者は「適合事業者」であり、かつ個人個人が適正評価チェックを受ける必要があります。このチェックには犯罪歴、家族を含む国籍、更には飲酒癖や懐具合も見られます。「そこまでするの?」と感じる方も多いでしょうが、それはその業務に従事する人の忠誠心の問題でありそれは今や世界標準になりつつあると考えています。
日本人の技術者が中国などに三顧の礼で迎えられる話はよくあります。あるいは研究者が日本の大学よりも中国の方がはるかに多額の予算をくれることで喜んで中国に渡るケースもあります。もちろん、全てがダメという訳ではないのですが、見境なく日本の知見や無形の財産を報酬見合いで引き渡す行為に歯止めをかける必要があるのです。いわゆる「頭脳流出」と称されるものですが、その中でも特に安全保障上重要だと思われるものに厳しい歯止めをかけることが必要になったということです。
残念ですが、世の中は日進月歩であるように30年前にOKだったことやその当時の常識は今はすべからく通じないのです。なので、人々の立ち位置や考え方も日々更新していく必要があるのです。コンピューターのソフトウェアが更新され、皆さんのiPhoneが進化しているのに安全に関する思想は戦後一貫して変わらず、という訳には行かないのです。
日本版NSC(国家安全保障会議)が発足して10年が経ちました。機能していると思います。そして安全保障の基本はDIME、つまり外交(diplomacy)、情報(information)、軍事(military)、経済(economy)であります。が、日本は情報の中のインテリジェンス、要はスパイと経済の部分が十分ではないとされ、上述の経済安全保障保護法案はその一環であると考えています。
日本人が肝に命じなくてはいけないのは自分のことは自分で守る、これが原則だという点です。「自衛官がいるじゃない」という他人任せではダメで各自が意識するようにならねばならない時代になったのだということかと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年3月13日の記事より転載させていただきました。
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