ちなみに、イランのライシ大統領(当時)とアブドラヒアン外相が搭乗したヘリコプターが2024年5月19日、天候の悪化で墜落し、大統領と外相が事故死するという惨事が起きたばかりだ。欧米諸国の対イラン制裁もあってイランの航空機、旅客機は部品が手に入らないこともあって安全飛行に支障があるといわれてきた。
SU-35は、ロシアのスホーイ社によって開発された多目的の超音速戦闘機で、スホーイのSu-27(フランカー)を基にした改良型であり、優れた機動性と強力なレーダーシステム、先進的な武装を持っている。この機体はより強力なエンジン(AL-41F1Sエンジン)や、新型のレーダー、アビオニクス(航空機の電子機器群)を搭載している。また、操縦性を向上させるために、スラストベクティング(推力偏向)技術を採用し、超音速で飛行しながら、非常に高い機動性を誇る。2011年からはロシア空軍に大量配備された。
ロシアとイランの関係は緊密だ。シリア内戦ではイランは2011年に、ロシアは2015年に、アサド政権を軍事支援するために戦争に関与してきた。対ウクライナ戦争では、イランはロシアに自国製の無人機や弾道ミサイルなどを送っていることはよく知られている。両国間は既に軍事同盟だ。今月17日の条約署名式後開かれた記者会見で、プーチン大統領は「この包括的戦略パートナーシップ条約の作成には長い時間を要したが、この作業が完了したことを大変うれしい」と述べている。
なお、イランの核開発を阻止したいイスラエル側にとってイランのSUー35戦闘機購入情報は警戒を要する。イラン側は同国の核関連施設をイスラエル空軍の攻撃から守りたい。特に、トランプ大統領が就任し、イスラエルへの軍事支援を強化することが明らかだけに、イラン側はロシア製戦闘機の購入という軍事情報を敢えてメディアに流すことで。イスラエル側へデモンストレーションした感じだ。