KFAチョン・モンギュ会長 写真:Getty Images

 2026年FIFAワールドカップ(W杯)アジア最終予選で無敗を維持し、グループBの首位に立つ韓国代表。しかし、韓国国内のサッカー界が深刻な問題を抱えていることを、オーストラリア拠点のスポーツメディア『The Roar』が伝えている。

 まずは、韓国のクラブは財閥によるチームと地域に根ざしたチームに分かれるが、財閥チームは企業の利益に左右され、地域チームは予算不足に苦しむ実態が指摘されている。多くのクラブは持続可能な運営が課題で、不安定さを抱えている。

 また、1993年以降、現代グループが韓国サッカー協会(KFA)を支配し、鄭夢奎(チョン・モンギュ)会長の下での汚職や資金不足が指摘されている。2011年の八百長スキャンダル関係者の赦免試みや、世間の反発を押し切ったユルゲン・クリンスマン監督(2023-2024)の韓国代表への任命など、不透明な決定が繰り返されてきた。

 さらに、選手の育成方針も大きな課題だ。韓国は体力や個人技に偏重した育成を続け、戦術的発展を軽視してきた。一方、日本代表は「100年ビジョン」の下で長期的な成長を実現しており、その差は2022年のカタールW杯で明確になったとの見解を同メディアは示した。日本代表がドイツ代表やスペイン代表を破りグループ首位で突破した一方、韓国は他国の結果に助けられ辛うじてベスト16進出を決めた。

 加えて韓国代表がFWソン・フンミン(トッテナム・ホットスパー)やMFイ・ガンイン(パリ・サンジェルマン)といった個人スターに依存しており、組織的改革が進まないことを問題提起している。長期的なこれらの問題が、2026年の北中米W杯に向けても表出していくことは考えられるだろう。