こういう話をすると「日本はどうでもいいことにこだわるから労働生産性が低い」と言われがちだが、そんなことはない。外資系で働いた時はむしろ、アメリカやイギリス相手の方がこうした伝え方を要求されると感じる場面は何度もあった。We would appreciate it if you couldとかCould you~?などと仮定法、疑問形で依頼を出せと教育を受けた経験がある。好ましい尋ね方でなかったことで、相手がムッとしてしまいこちらへの仕事の優先度を下げられてしまうということも実際に経験している。おそらく中国人や韓国人相手などアジア圏だとより顕著だ。「言い方」は大変重要なのである。

「日本企業はコミュ力重視」みたいな話があるが、厳しい言い方をするとビジネスにおけるコミュ力の重要性を軽視してしまう「視座の低さ」が問題なのだと思っている。しょせんはコミュ力、というなら「その程度のもの」を最低限は磨く必要があるという発想が重要ではないだろうか。

人間関係のトラブルは常に自分が出した言葉が連れてくる。無用なトラブルにマインドシェアを奪われたり、有望な取引先を失ったり、ネットで軽率な発言をしてしまう人物だと広まれば損をするのは自分である(自分もやらかすことはあるが)。言葉のトラブルで「軽くいっただけなのに」と考えるべきではない。本人にとって軽くいった言葉は、相手にとっては「軽率」という意味合いの軽さに取られてしまうのだから。

 

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