かつて「第三分野保険」と呼ばれた民間医療保険は、今では人々の生活に浸透し、保険外交員や代理店に加えて、ネットでも数多く販売されている。

安い医療保険を探しているならば、ネット通販型医療保険を検討してもいいかもしれない。ネット通販は、好きな時間に自分のペースで、安くて無駄のない医療保険を選びたい、そんな願いをかなえてくれる使い勝手のよい販売チャネルだ。

医療保険は医療費・入院費に対する経済的不安を軽減する

生命保険文化センターから2015年に発表された『平成27年度 生命保険に関する実態調査』の「医療保険・医療特約の加入率」によれば、調査対象のうち、91.7%の世帯で医療保険・医療特約に加入している。この数字からも分かるように、昨今では医療保険や医療特約を必要と感じている人が非常に多くなっている。

同調査の「直近加入契約(民保)の加入目的(複数回答)」では、直近で加入した人のうち58.5%が「医療費や入院費のため」、53.1%が「万一のときの家族の生活保障のため」と回答している。新たに医療保険等に加入した人にとっても、ケガや病気・入院といった事態は、世帯主の死亡等と並んで大きな不安要素であることがわかる。

自分に合ったベストな医療保険をネットで探す

医療費・入院費に対して感じる不安を医療保険や医療特約に加入することで軽減させたいと考える人は多い。

次に重要になるのは、自分にとって必要な保障と保険料のベストバランスを探ることだ。そんな時に役立つのが、ネットで医療保険を選別する方法だ。自分の預貯金がどれほどあるか、または各種助成制度を活用すれば、残りどのくらいを保険で補填できればよいのかなど、じっくり自分のペースで確認しながら保障内容と保険料を精査できる。

ネット通販型医療保険では、30歳男性の場合、1,000~2,000円程度までの月払保険料を提示する医療保険の人気が高いが、保険料がより安い1,000円以下の商品、高いものでは3,000~4,000円超の商品もある。 ここでは、現在ネットで人気の高い保険料区分の医療保険を中心に、保障内容や付加できる特約について紹介する。

月払保険料1,000~2,000円程度 保険料は安いが入院・手術等をしっかり保障

この保険料区分の代表的な例としては、

オリックス生命 『医療保険 新CURE[キュア]』
アクサダイレクト の終身医療』
チューリッヒ生命 『終身医療保険プレミアムDX』
メディケア生命 『メディフィットA(エース)』
アフラック 『ちゃんと応える医療保険 EVER』
メットライフ生命 『終身医療保険 フレキシィ エス(シンプルタイプ)』
『楽天生命ピンポイント』
ネオファースト生命 『ネオdeいりょう』
東京海上日動あんしん生命 『メディカルkit NEO』
SBI生命  終身医療保険『も。』

といった商品が含まれる。

これらの商品の特徴は、入院・手術に対する給付金支払いという基本的な保障内容に絞り込んでいる点である。どの商品も対面ではなくネットによる取り扱いが基本であることや、無解約返戻金型で設計されていることも、保険料の安さにつながっている。

この保険料区分の医療保険では、支払限度や範囲に多少の違いも見られるが、おおむね主契約の保障内容は次の通りだ。

・病気・ケガによる入院の支払限度日数が60日間
・七大生活習慣病やがん・心疾患・脳血管疾患といった三大疾病による入院の場合は支払日数を延長または無制限に保障(アフラックでは三大疾病に対する保障は特約)
・入院給付金日額は5,000円
・入院中・外来による手術に対してはそれぞれ入院給付日額を基準にした給付金の支払い(ネオファースト生命『ネオdeいりょう』は手術保障が特約)
・上限2,000万円の先進医療の技術料保障(主契約に含まれたり、特約で付加したり、商品によって保障の付け方が異なる) ・無解約返戻金型
・保険期間が終身

収入がある人については1年間に一定額を超える医療費を自己負担していれば医療費控除を受けられる。ある程度の預貯金がある場合や、高額療養費制度等の公的助成も活用できれば、医療保険の保障内容としては必要十分な保障であると言えるだろう。医療保険の加入にあたって保険料をできるだけ安くしたければ、ネット通販型医療保険を主契約だけで申し込むのがおすすめだ。

月払保険料はアップするものの、どうしても不安がある場合には、次のような特約を付加して保障を厚くするのも一考だ。

死亡給付金 (『メディフィットA(エース)』『終身医療保険 フレキシィ エス(シンプルタイプ)』他)
三大疾病に対する特約  一時金/保険料払込免除/長期入院(『医療保険 新Cure』『アクサダイレクトの終身医療』『メディフィットA(エース)』『ネオdeいりょう』・アフラック各商品他)
退院後通院特約 (『終身医療保険プレミアムDX』『メディフィットA(エース)』『ネオdeいりょう』『メディカルkit NEO』他)
女性向け保障 (『アクサダイレクトの終身医療』『メディフィットA(エース)』『メディカルkit NEO』他)

1,000~2,000円程度の安い月払保険料区分で特異性が際立つ『楽天生命ピンポイント』

ネットで申し込める医療保険の一つである『楽天ピンポイント』は、30歳男性の月払保険料を試算すると1,522円と算出されるお手頃な医療保険である。保険料だけを見ると前述の商品群と大差ないが、その保障内容を見ると、入院・手術という基本的な保障内容を備えた一般的な医療保険とは商品設計が異なる。

『楽天ピンポイント』の特徴と一般的なネット通販型医療保険との違いを確認しよう。

“入院支援保険”として保障内容を極限まで絞り込んだ主契約

『楽天ピンポイント』の最大の特徴は、ピンポイントという名称からも分かるように、主契約に含まれる保障が“入院”に限定されている点である。一般的なネット通販型医療保険と違って、“手術”や“七大生活習慣病・三大疾病に対する手厚い保障”は組み込まれていない。

その反面、1泊2日以上であれば短期入院の場合でも一律10万円の入院支援給付金が一時金として支払われるため、入院期間の長短に関わらず必要になる入院初期費用(寝間着・日用品等の身の回り品や家族の交通費など)や退院後の検査・通院に充てることができる。

『楽天ピンポイント』の入院支援給付金

・1回の給付金額 10万円
・責任開始期以降、病気・ケガ治療のための、1泊2日(継続2日)以上の入院が対象
・180日に1回の給付(前回入院支援給付金が支払われた入院開始日から180日を経過した181日目から、次の入院支援給付金支払対象となる)
・支払限度は通算50回まで

一般的なネット通販型医療保険(基本プラン)における病気・ケガの保障例

・入院給付日額 5,000円
・支払限度は1回の入院で60日まで、通算1,000日まで
 

『楽天ピンポイント』と一般の医療保険の入院給付金支払限度額を比較した場合

『楽天ピンポイント』……1回の入院につき10万円で上限50回給付されると、合計500万円
一般の医療保険……入院給付日額5,000円で1回60日の入院を16回繰り返したとすると、通算960日で合計480万円

2014年に厚生労働省から発表された『患者調査の概況』によれば、1993年において、病院では43.7日、一般診療所では28.9日であった退院患者の平均在院日数が、2014年にはそれぞれ33.2日、17.4日に減少しており、入院日数が減少傾向にあることが分かる。

また、入院期間が長い三大傷病分類については、「精神及び行動の障害」が291.9日、「神経系の疾患」が82.2日、「循環器系の疾患」が43.3日という結果になっており、第三位の「循環器系の疾患」になると、その入院日数が一般的な医療保険の1入院あたりの支払限度日数以内に収まっている。

『楽天ピンポイント』は、入院が長期化する特定の疾患を除けば、安い保険料でありながら、入院日数が減少傾向にある現代の入院事情と、高齢化による生涯における入院回数の増加リスクに対応できる設計になっているようだ。
 

先進医療特約を付加すれば、もしもの場合の高額医療費にも対応できる

一般の保険診療でない先進医療を受けた際の費用は全額自己負担となる。先進医療は保険適用されないため、高額療養費制度の対象にもならない。しかし、先進医療の技術料は治療の対価として支払われるため、年間200万円までの医療費控除の範囲内で還付申告することができる。

以上を勘案した上で、「預貯金は潤沢ではないが、あらゆる治療の選択肢を残しておきたい」と考える人にとって、先進医療特約を付けることは有効な経済的保障になる。ただし、主契約の月払保険料に低額ながらも特約の保険料(『楽天生命ピンポイント』では月々82円)が上乗せされるため、それを高いと感じるか、安いと感じるかは本人次第だろう。

最安値の保険料と2,000円超の保険料 保障内容に大きな違いがある

一口にネット通販型医療保険といっても、その保険料は安いものから高いものまでさまざまである。一般的に「安い」と感じる月払保険料の商品では、これまで述べたように、主契約で入院・手術などを重点的に保障する、または入院に対して生涯変わらない保障が受けられると考えてよい。

実際には、先に紹介した保険料区分を下回る月払保険料の商品も存在する。『アクサダイレクトの定期医療』では、30歳男性の最安プランだと月払保険料が840円と試算される。入院給付日額5,000円で1入院60日まで給付、さらに手術給付金も出るため、保険料が1,000~2,000円の商品と保障内容は大きく違わないが、10年定期であるため保険料が割安に設定されている。「一定期間でよいので、とにかく安く医療保険に入っておきたい」という人は要チェックだ。

一方、月払保険料が2,000円を超える医療保険としては、『楽天生命スーパー医療保険』・オリックス生命『死亡保障付医療保険Relief W(リリーフ・ダブル)』・ライフネット生命『終身医療保険 新じぶんへの保険レディース』などが各種販売されており、保険料や保障内容にも違いがある。保険料が高めの商品は、主契約に先進医療保障や女性特有の疾病に対する保障、給付金が増額されている、死亡保障が組み込まれているといった手厚い保障が特徴になっている。保険料が「安い」商品と保険料や保障内容を比べてみるのもいいだろう。

文・MONEY TIMES 編集部 

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