「車の運転は男がするもの」という価値観は、現在ではもはや遠い昔のものになりました。警察庁の「運転免許統計」によれば、運転免許保有者に占める女性の割合は、1973年(昭和48年)には20%ほどであったのに対し、2023年には46%ほどにまで上昇しています。
道を行き交う車を見ても、ミニバンやSUVをはじめ、大きめの車を運転する女性の姿も頻繁に目にするようになりました。
一方で、現在でも女性の運転に対する偏見は根強く、また「大きな車は怖い」と苦手意識をもつ女性の声を耳にすることもあります。
実際のところ、大きめの車を運転することについて、女性ドライバーはどのように思っているのでしょうか。今回は全幅1800mmを超えるサイズの車に乗っている女性に話を聞きました。
ミニバンなら大きさはあまり気にならない?
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まずインタビューに答えてくれたのは、新型ヴェルファイアを運転する40代女性です。家族の車として購入し、主に運転しているのは自分だといいます。国産乗用車としてはかなり大きな部類ですが、恐怖感はないのでしょうか。
「もうずっとミニバンなんで、不安は全然ないですね。むしろ最初に乗っていた軽から、ステップワゴンに乗り換えたときが一番怖かったかな。今みたいに360度のモニターとかもなかったですし。
むしろ自分としては、大きいセダンに乗っている人の方が尊敬しますね。前がどこまでか、わかりにくいじゃないですか。ヴェルファイアは前の見切りはいいですし、走行中は巻き込みだけ気をつけていれば、むしろ運転しやすい部類だと思いますよ。
もちろん駐車のときは、大きさがちょっと気になりますけどね。それでも全然普通の車ですし、そんなに大げさに構えるほどではないと思います」(40代女性)
たしかにミニバンタイプの車両は、ボンネットが短いため前方の見切りはいい傾向にあります。お話にもあるように、切り返しが必要になるような場所でなければスムーズに運転できるでしょう。
近年では車両周囲を確認できるモニターを搭載した車種も増え、「ぶつける不安」をあまり感じずに済むケースも多いようです。
不安はないけど、不便に感じる面も
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次にお話を聞かせてくれたのは、ポルシェのSUV「カイエン」に乗る30代女性です。2m近い全幅と、5m近い全長は、日常的に取り回すのに苦労しそうなサイズですが、実際のところはどうなのでしょうか。
「夫の趣味で買った車ですけど、平日は夫が電車通勤でいないので、私がこの車で保育園の送迎や買い物もしています。正直なところ、毎日『ちょっと大きすぎるなぁ』と思いながら運転していますね。
サイズ感には慣れてきましたし、モニターもあるので『ぶつけるのが怖い』みたいなのはないんですけど、やっぱり小さい方が生活の足としては便利じゃないですか。ママ友のフリードやシエンタに乗せてもらうと、どこでも入りやすくていいなと思います。
夫に『足用にもう1台、小さい車がほしい』と相談したこともありますが、家の駐車場は1台分しかないですし、『わざわざ買う意味ないでしょ』といわれてしまって。
たしかに私としても、1台家の前に置くのであれば、小さい車よりはこっちの方が見映えはいいと思いますし、若干の不便は我慢するしかないのかなって」(30代女性)
子どもの乗せ降ろしなどを考えると、やはり2m近い幅は不便に感じることもあるでしょう。とはいえ車のサイズについては「慣れてきた」と語られているように、車両感覚は性差よりも個人の特性や経験による部分が大きいのかもしれません。
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正直かなり怖いけど…
正直かなり怖いけど…
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最後に紹介するのも、「夫の趣味で大きな車を運転することになった」という20代女性です。先のカイエンと同様、2m近い全幅と5m近い全長を誇るランドクルーザー200に乗っているといいますが……。
「ぶっちゃけ運転には全然自信がないんです。自宅の駐車スペースが割と広めで、周辺もそんなに狭いところがないので、どうにか乗れていますけど……。通るのは絶対、近所の知っている道だけですね。
旅行とか週末のお出かけはもちろん夫の運転ですし、近場でも初めての場所には必ず運転してもらっています。それでも一度、自宅の車庫で後ろをぶつけてしまったことがあって……。
夫はガックリきていましたが、そもそも車を買うときに『ランクルがいい』と押し切ったのは夫ですし、そのときに『ぶつけても怒らないでね』と念押ししていたんです。なので文句はいわれなかったですね。
ただ私だけじゃなく、夫も一度どこかでサイドをぶつけていますし、ドアパンチも何度かやられていて、ちょっとサイズ的に後悔している部分はあるみたいです。すごくカッコいいのはわかるんですけどね」(20代女性)
男性であろうと女性であろうと、日本の道路環境にあっては、大きな車両の取り回しに苦労する場面は少なくないでしょう。
もちろん「余裕でギリギリまで寄せられるし、大きくても全然困らない」という人もいると思われますが、男女ともにそうした人は少数派なのかもしれません。
ここまで見てきたように、車両感覚には個人差があり、性別よりも「その人の資質」や「慣れ」の部分が大きいのだと考えられます。夫婦で運転する車を選ぶ際にはとくに、お互いの車両感覚についてよく考えたうえで、双方が無理なく運転できる車を見つけたいところです。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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