これと同様に、大都市では不法移民が溢れ、麻薬が蔓延し、警察の予算は削減されている。これに怒ったアメリカ人と、元々いるヒスパニック系アメリカ人が、自分たちの職がなくなることを警戒して、トランプ大統領誕生の一翼を担うことになった。

トランプと言えば保護主義が有名だが、それは批判されるべきものとも言えない。確かにアメリカ経済の底辺を支えている移民は、アメリカ社会には必要なものではあるのだが、一方、行き過ぎた移民政策やイデオロギーに偏重した社会が歪みを受け止めきれなくなっているのがその実態でもある。

バラク・オバマは「Change(変革)」をキーワードに大統領になったが、その意味は、政治的なイデオロギーに偏重することをやめ、実利主義の政治を行おうというスローガンだった筈だが、トランプ大統領に意識高い系リベラルのアメリカ人が反発し、バイデン大統領が誕生したが、結果的にリベラル政権が政治的イデオロギーの再燃を起こしてしまった。

しかし、賢明なアメリカ人は、リベラル政権は結局においてアメリカ人に何もしてくれないことに気づき、その結果、第二次トランプ政権を生み出したのだ。言い換えれば、無能なバイデン政権がトランプ大統領を生み出したとも言えるだろう。

日本の左翼メディアや、政治的イデオロギーを珍重するアホな言説を垂れ流す連中ほど、トランプ大統領はとんでもない存在で、今後の世界に混乱を生み出すと警戒感を露わにする。世界最強の軍事力と世界最大の経済大国が保護主義に陥れば、遠からず、世界に影響を与えるのは必然だ。一方で、世界が偏重してしまった現実をどう乗り越えるか?の問題提起は誰もやらない。

世界は左右どちらかに常に揺れ動いている。大事なことは、その揺れ動いている先にあるもの、或いはその揺れ動くものの本質を見極めることであり、どちらか一方が最適解であると思い込むのは、その先にもっと大きな過ちを引き起こすことになる。それが、過度な環境保護政策や移民保護政策によって社会で分断を引き起こしている現在ではないだろうか?