マイクロソフト自身が開発した、Windows OSのPCの動作が軽くなるソフト「Microsoft PC Manager」が無料で提供されているとして一部で話題を呼んでいる。Windows PC向けのシステム最適化ソフトはマイクロソフト以外からも数多くリリースされているが、それらとは何が違うのか。また、同ソフトを使用する際に注意すべき点とは何か。専門家の見解を交え追ってみたい。
PC Managerがリリースされたのは2年前の2022年で、OSの「Windows 10 バージョン 1809」以降に対応。マイクロソフトの中国部門が開発していることもあり、中国語版と英語版のみの提供だったが、昨年には日本語版の提供が開始。これまではベータ版となっており、専用HPにアクセスしてインストールファイルをPCにダウンロードするかたちで使用できたが、今年に入り「Microsoft Store」上での提供も開始。加えて、「winget」コマンドでもインストールとアップデートが可能となった。
同ソフトでは、具体的には以下の機能が搭載されている。
・PCを高速化
システムをクリーンアップし、スペースを解放
・ストレージを管理
大きなファイルを管理し、「Storage sense」を使用して、Windowsがストレージを自動的に解放
・ポップアップ管理
広告やアプリのポップアップを減少させ、クリーンなコンピュータ体験を実現
・正常性チェック
システムの問題を素早く検出して修正。ワンクリックでスキャンして脅威をクリア
・プロフェッショナルなアンチウイルス保護
Windowsセキュリティと完全に統合されており、いつでもどこでもPCを保護
・ツールボックス&デスクトップ ツールバー
Windowsのさまざまなユーティリティが組み込まれており、コンピュータの使用効率を向上
たとえば「Deep cleanup」では不要ファイルを一括で削除したり、ディスク容量が不足したときに「Storage sense」を使ってユーザーコンテンツを自動的に削除したりできる。このほか、容量の大きなファイルを「エクスプローラー」で一覧表示したり、メモリを開放する「ブースト」を自動的に行う「Smart Boost」なども便利だ。
基本的な機能がまとまっている
ネット上では「WindowsのPCの動作が軽くなるツールをマイクロソフトが無償で提供している」という反応が多いようだが、「PCの動作が軽くなるツール」という認識は正しいのか。また、大幅に軽くなると期待されるのか。ITジャーナリストの山口健太氏はいう。
「一般に、PCの動きが重くなる原因としてCPUやメモリーが圧迫されていることがありますが、PCに詳しくない人はなかなか気付きにくい点といえます。長く使い続けているPCの場合、こうしたツールを用いることで動作が軽くなる場合はあるでしょう。また、メモリーやディスクの状態に問題がないことを可視化することで、安心感を得たいといったニーズもありそうです」
Windows PCの動作を軽くすると謳うソフトは、マイクロソフト以外からも無料のものや一定の試用期間のみ無料のもの、有料のものまで数多くリリースされている。それらとMicrosoft PC Managerの違いは何か。
「Microsoft PC Managerの主な機能としては、メモリーの解放やディスクの使用状況の確認、PC起動時に開くアプリの管理といったものがあります。こうしたメンテナンスやカスタマイズは無料のものを含め多くのソフトウェアが出回っていますが、なかには使い方に注意を要するものもあります。その点、PC Managerはマイクロソフト製ということもあり、基本的な機能がまとまっている印象です」(山口氏)
では、PC Managerをインストールするにあたって、注意点はあるか。
「公式アプリストアの『Microsoft Store』にはマイクロソフトの審査に通ったアプリが掲載されており、安心して利用できます。しかし最近、PCを診断するなどと偽って悪意のあるソフトウェアを入れさせようとする行為が増加しており、PC Managerについてもマイクロソフト製に見せかけた偽物が登場する可能性もあり、注意が必要です」(山口氏)