タブレット市場は過大評価されていた可能性が高い
Windows 8および8.1の失敗を振り返るには、個人需要と法人需要の双方が大きなOSが全面的に対応する機能として「タッチ操作」に意味はあったのかが大きな点となるでしょう。さらに言えば、同OSを搭載する先としての「Surfaceシリーズ」には「Windowsの操作性を大きく変えるほどの価値があったのか」がポイントとなります。
結論から言えば、タブレット市場は10年代に期待されていたほどの巨大市場には発展せず、むしろ「タブレットとスマホを併用するのではなく、スマホ自体が大型化した」と言えるのではないでしょうか。
一例として直近の「国内のタブレット及びスマホの販売台数」を見てみましょう。MM総研の調査によると、2023年度、iPadは285.4万台を出荷し、国内のタブレット市場の48.5%をシェアとして獲得しています。この出荷台数は「多い」と言えるのでしょうか?
同年の国内携帯電話端末の出荷台数調査によると、iPhoneの出荷台数は1337.7万台。同じAppleでも、スマホとタブレットでは出荷台数に大きな差があると言えるでしょう。iPhoneの画面自体が大型化し、なおかつiPhoneに「Pro」シリーズが登場した結果、タブレットの存在価値が薄れている側面があります。
そして、Microsoftはまずスマホ市場で存在感を発揮できていません。ではタブレットとしてのSurfaceに目を向けると、MM総研の2023年度上期 タブレット端末出荷台数調査によると、Microsoftのタブレットの販売台数は30.1万台。この数字は半期のため、単純計算で倍にすると、年間の出荷台数は60万台ほどと言えるでしょう。iPadと比較して出荷台数に大きな差があります。
この出荷台数は「Windows」という巨大なOSが全面的にタッチ操作に舵を切るほどの価値がある台数かと言えば、疑問符が付きます。むろん10年代にはより販売台数が多かった可能性もあります。
とはいえ良くも悪くも「10年後には、年間で100万台未満」の出荷台数へとSurfaceが落ち込むのであれば、やはり「タッチ操作の全面的導入の価値があったか」は微妙ではないでしょうか。
Windows 8及び8.1の失敗を「10」「11」はどう乗り越える?
Windows8と8.1の失敗を受け、登場した「Windows 10」はWindowsの歴史に残る大成功を収めたOSです。また続くWindows 11はいままさに「普及の最中」です。8及び8.1の失敗をどのように後続のバージョンが乗り越えているのか、見ていきましょう。
Windows 10はWindowsの歴史に残る大成功
Windows 10はWindows 8で不評だったスタートメニューの刷新が見直され、従来のOSに近い操作感になりました。またIEのレガシーからついに脱却したOSでもあり、Microsoft Edgeがデフォルトのブラウザとして搭載され一定の支持を獲得しました。
結果として後にWindows 11が登場しましたが、Windows 10は販売当時「最後のメジャーアップデート」と銘打たれており、Windows 8及び8.1に嫌悪感を示したユーザーでも「最後のメジャーアップデートならばこの機会にバージョンを乗り換えよう」と導入した可能性が高かったと言えるでしょう。
Windows 11はAI機能がどう市場に受け入れられるか未知数?
Windows 10は2025年10月にサポートを終了する予定で、Microsoftは11への移行を強く呼びかけています。一方、サポート終了の1年前である2024年10月時点ではWindows 11のシェアは10のシェアを上回っていません。
Windows 11では、AIを活用した機能の強化が図られていますが、Windows 8の失敗を教訓に、ユーザーの実際のニーズと新機能のバランスを慎重に見極める必要があるでしょう。特にCopilotなどのAI機能が、実際のビジネスシーンでどれだけ活用されるかが、今後の成功を左右する重要な鍵となりそうです。
※サムネイル画像は(Image:「Microsoft」公式サイトより引用)
文・オトナライフ編集部/提供元・オトナライフ
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