全国一律の「固定電話」提供は当面継続へ

NTT法見直しを議論する総務省の3作業部会が10月に公表した報告書案では、冒頭で述べたユニバーサルサービスを固定電話からモバイルを軸に移行するというNTTの提案を総務省が退け、NTT法廃止の議論は停滞している状況です。

当初、NTT法廃止は2025年までに実施されるとの結論が一度は出ていました。しかし、現状ではその実現は難しく、過疎地域などで固定電話の提供が直ちに終了するということはなさそうです。

一方、固定電話の普及率が低下し、スマートフォンがシニア層にも広く普及している現状を踏まえると、「モバイル」を中心としたユニバーサルサービスへの再設計というNTTの提案には一定の説得力があります。

また、NTT法に関する議論が「見直し」と「廃止」の両方向で進んでいる点も注目に値します。例えば、完全民営化が実現した場合、NTTの通信インフラの原資である「電話加入権」が重要な論点となる可能性があります。電話加入権の返還が議論されないまま、膨大な通信インフラが一民間企業の所有物となることについては、安全保障や公平性の観点からも注目が集まるでしょう。

総じて、議論は「モバイル中心のユニバーサルサービスの再設計」を超え、多岐にわたる課題に発展しています。当面は「固定電話」提供は続くと見られます。

文・オトナライフ編集部/提供元・オトナライフ

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