再開後、これまでと同じ水準の広告出稿には満たない

 広告代理店社員はいう。

「個別の契約によって契約条件・内容は異なるが、一般的にCMを放送予定だった番組の放送回数が減ったり放送自体がなくなった場合には費用を減額すると明記されている。また、どちらか一方が破産手続を開始するなどした際には契約を解除できる旨の解除条項も定められているが、今回のようにメディア企業側の不祥事に伴う減額や契約解除については明記されていないのではないか。よって、お決まりの『本契約に定めのない事項が発生した場合は甲乙協議の上で決定する』という条項が適用される可能性が高い。すでにCMが一定の期間、放送されていたり、一部費用を支払い済みの場合、契約解除というのも難しい。

 また、放送されないとなればCMを制作したコストも無駄になってしまうが、大手企業の場合は広告代理店にお金を支払って制作したCMを複数の局やインターネットなどでも使用するので、フジで放送できなくなったとしても制作費が丸々損になるということはないだろう」

 もっとも、実際には“現実的な対応”が取られるのではないかという。

「スポンサー企業も今は世間的な反応を考慮して厳しい姿勢を示す必要があるということでCMを見合わせているが、フジとはこれまでの長年のお付き合いもあるし、将来的にはフジも経営体制を刷新して正常化すると考えられるので、CM放送は再開するだろう。よって、実際には両者の担当者間で協議して、フジが、CM放送されなかった分の減額をするといったかたちに落ち着くのではないか。ただ、当面はフジに新規に広告を出稿する企業は出ないし、仮にその状態が1年続けばフジの経営は非常に厳しくなってくる。また、一度スポンサー企業が離れてしまうと、再開してもこれまでと同じ水準の広告出稿には満たないかもしれない」

(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)

提供元・Business Journal

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