こんにちは、たびこふれライターのえいたです。

長野県の小谷村をご存じでしょうか? ご存じない方は、栂池スキー場がある場所と聞くとピンとくるかもしれません。

今回はその小谷村の「塩の道」を訪れました。美しい紅葉の季節に、ヨーロッパから訪れた外国人たちとともに、塩の道のほんの一部である千国峠の自然や歴史に触れてきました。

目次

  1. 小谷村ってどんなところ? 塩の道ってどんな道?
  2. 今回歩いた塩の道のルート
  3. 塩の道の見どころ
  4. 古民家でお昼ごはん
  5. 塩の道への行き方
  6. 最後に

小谷村ってどんなところ? 塩の道ってどんな道?

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)

小谷村は新潟県の糸魚川市に隣接し、特別豪雪地帯に指定されています。この糸魚川から小谷村を通り松本に至る全長120kmの道は、千国街道と呼ばれています。姫川沿いの山間部を縫うように、牛馬と歩荷(ぼっか)たちは塩や海産物などの物資を運んでいました。

この千国街道は、内陸の信州の住人にとって冬場に漬物や味噌を作って保存するための塩が生活に欠かせない重要な生活路であり、そのため「塩の道」と呼ばれるようになったのだと思います。

ちなみに、現在、姫川に並行して国道が走っていますが、暴れ川として度々氾濫を起こしていたため、塩の道は山間を縫うように敷かれていました。

今回歩いた塩の道のルート

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)
  • 歩いたルート:栂池高原松沢口(薬師堂)~前山百体観音~牛方宿~親坂~千国番所跡~小谷村諏訪神社

今回歩いた松沢口から小谷村諏訪神社のルートは、塩の道の中でも整備されており、安心して歩ける道となっています。「前山百体観音」、「牛方宿」や「千国番所跡」など、往時の文化や歴史に触れるポイントが多く、塩の道の入門には最適なコースです。行程全体が下り坂となるため、今回は松沢口からのスタートにしました。

「敵に塩を送る」という言葉は、相手の苦境を救う行動を指す故事成語です。この言葉は、戦国時代に越後の上杉謙信が、敵である武田信玄の領地が塩不足に陥った際、武士道に則って塩を送ったことに由来しています。この行動の際に、塩が運ばれたのが千国街道であるという説もあります。

塩の道の見どころ

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)
信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<前山百体観音>

松沢口(薬師堂)からスタートすると、数分で前山百体観音に辿り着きます。前山に点在する百体観音の像はそれぞれ独自のデザインを持っており、彫刻の細部や表情に注目することで、職人の技術や信仰心を感じることができます。

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)

また、観音像の周囲には栂池高原スキー場と北アルプスの山々が背後に控え、美しい自然が広がっています。この場所はとても静かで、大自然に身を置いたことを実感できるスポットです。

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)
信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<牛方宿>

牛方宿は、牛方や歩荷(ボッカ)が宿泊した建物であり、1700年代末から1800年代初期に建築されたとされています。ここは急峻な千国峠で馬では運搬できず、牛を使って物資を輸送していた場所です。

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)

周辺は、現在でも当時の建物や道が残されており、歴史や文化を感じることができました。牛方宿は19世紀初期の唯一の現存建物であり、質の高い建築様式を保ちながら宿場町の雰囲気と歴史に触れることができました。

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)
信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<親坂>

牛方宿から少し下ると、舗装された道路を外れ、親坂に差し掛かります。親坂は塩の道の中でも難所であり、牛への配慮が見られる場所です。重い荷物を運ぶ牛が歩きやすいように敷かれた石が残っており、その時代を想像しながら歩きました。

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)
信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<千国番所跡>

千国番所は、江戸時代に設置された交通の要所であり、重要な監視所として機能していました。ここでは、旅人や物資の流通を管理する役割を果たし、地域の安全を守るための重要な拠点でもありました。

千国番所跡には、当時の構造や遺物が残されており、まるでタイムスリップしたかのように歴史を感じさせてくれました。

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<小谷村諏訪神社>

古民家でお昼ごはん

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)

紀柳は、小谷村にある人気のランチスポットで、JR南小谷駅から徒歩数分でアクセスできる、地元の食材をふんだんに使った料理が楽しめるお店です。

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<中村 尹俊(ただとし)さん>

店主の西澤紀子さんは村外に住みながら、父親の実家がある小谷村の築250年から300年といわれる家を古民家レストランに改装し、営業しています。父親の中村 尹俊(ただとし)さんは、娘が家を引き継いでくれたことを喜んでおり、懐かしい思い出を訪れる人たちと共有したいと考えています。

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)

レストラン「紀柳」では、かまど炊き体験ができ、年配の客には懐かしい味わいを、若年層には新鮮な体験を提供しています。西澤紀子さんは、日本文化の伝承をテーマに、家族で来る客が昔の暮らしを語り合える空間を作りたいと語っていました。

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<地産地消の野菜や山菜がメインのランチメニュー>

作り手のやさしい気持ちが伝わってくる味でした。

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<かまど炊きのご飯>

お焦げの香りが絶妙でした。おかずなしでも食べられそうなほど味は抜群。

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<囲炉裏のあるウエイティングルームで記念撮影>

前列中央が中村尹俊(ただとし)さん、前列右が西澤紀子さんです。

信州小谷村の塩の道に行った際に押さえておきたいスポットを紹介します
(画像=『たびこふれ』より 引用)

お見送りまでしていただきました。

紀柳

  • 住所:長野県北安曇郡小谷村大字千国乙10490
  • TEL:0261-88-0885
  • 営業時間:11:00~16:00(月曜日は14:00まで)
  • 定休日:火~木

塩の道への行き方

JR篠ノ井線の松本駅から大糸線に乗り換え、白馬駅または南小谷駅からバスに乗り換えて栂池高原を目指します。

今回歩いた塩の道のスタート地点は、栂池高原スキー場から少し下った松沢薬師堂のある松沢口バス停が最寄りですが、運行本数が非常に少ないため、JR長野駅から白馬駅を経由する栂池高原行の直通バスを利用して栂池高原バス停からアプローチするのが良いと思います。

最後に

いかがでしたでしょうか。

実は小谷村、今、外国人が大挙して押し寄せる白馬村の隣の村なのです。

白馬というと、長野オリンピックのジャンプ台(舟木選手が格好良かった)をはじめとするスキーリゾートとして有名で、たくさんの観光客で賑わっていますが、スキーシーズンを外すと小谷村はそれほど賑わっていません。

っていうか、人をほとんど見かけません。(ちなみに、小谷村の人口は2024年11月1日時点で推計人口が2,485人です。)

でも、そこがいいのだと再認識した小谷村訪問でした。何が良かったかって、すれ違う人の温かさに触れました。素敵な風景に触れました。おいしい食事にも触れました。止まった時の中で自分の存在を再認識する、そんな時間を塩の道にもらった気がする旅でした。

同行した外国人たちも、言葉には出さなくとも、その表情が塩の道訪問に大満足だったことを物語っていました。

文・写真・えいた/提供元・たびこふれ

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