自分のためだけにある睡眠時間という最後の“聖域”が侵されはじめていた――。最新の調査で我々の多くは夢の中でもCMを見ているという衝撃の事実が明らかになっている。

■米国の若者の54%が夢でCMを見ていた!

 ネット広告がますます充実する一方の昨今、スマホを携えている限りはどこにいても広告が目に入る事態を迎えているのだが、一説によればアメリカ国民は起きている時間にすでに1日最大4000件の広告にさらされているという。

 そして今や安眠中の夢の中でさえ商業的メッセージから逃れられないようだ。新たな調査で、アメリカの若者の54%が広告に影響された夢を見たことがあると報告しており、一部の企業はそれを意図的に仕組んでいる可能性があると懸念されている。

 2025年1月2日から3日にかけて、デジタルマーケティング企業「Media Image」の依頼で調査会社「Survey Monkey」が行ったジェネレーションZとミレニアル世代に焦点を当てた消費者調査によると、18~35歳のアメリカ人の54%が、広告の影響を受けたか、広告のような内容を含む夢を見たことがあると報告している。

 さらに驚くべきことに、回答者の22%は夢の中で広告のようなコンテンツを週に1回から毎日体験し、別の17%は月に1回から数カ月に1回ほど体験していると報告している。

 実施したこの調査には18~35歳のアメリカ人回答者1101人(女性62%)のサンプルが含まれており、調査結果はこの年齢層内のより幅広く一般的な観点を反映しているものと考えられる。

 印象的なCMは意識するしないに関わらず記憶に強く残っており、登場する俳優やタレント、あるいは商品そのものが夢に出てくることは確かにあり得ることだ。

 そしてこの現象は単なる受動的なものではなく、調査ではこれらの夢に基づく広告が消費者の行動に具体的な形で影響を与えている可能性があることが明らかになっている。消費者の3分の2(66%)は夢に出てきたCMの商品を購入することに抵抗があると報告しているが、残りの3分の1は、過去1年間に夢が商品やサービスの購入を促したと認めている。この33%という成約率は従来の広告キャンペーンに匹敵するか、それを超えているということだ。

 2021年にアメリカのビール会社「クアーズ」がスーパーボウルのテレビ中継に合わせ「寝ている人々にクアーズビールの夢を見させる」という斬新な広告キャンペーンを実施して話題になっている。

 一部の専門家は夢に広告を侵入させようとする企業の試みについて深刻な懸念を表明しており、企業の関心と技術力の融合は、個人のプライバシーと精神的自立の将来について深刻な問題になり得ると警鐘を鳴らしている。

 夢の中でCMを見させる技術が開発されているのだとすれば、夢の中にCMが入らないようにする「夢広告ブロッカー」の開発も可能であるのかもしれない。

 しかし商業的影響から夢を守ることへの関心は限られているようで、回答者の3分の2以上(68%)は、夢を広告なしに保つためにお金を払う気はないと回答している。一方、少数派(32%)は仮想の「夢広告ブロッカー」に関心を示しており、一部の消費者の間でこの問題に対する認識と懸念が高まっていることが示唆されている。

 はたして今後ますます夢の中に広告が出てくる近未来が待っているのだろうか。我々の無意識の領域まで踏み込んでくる究極の商業主義テクノロジーは、まさにマインドコントロール技術でもあるだろう。技術開発が気づかないうちに進展しないことを望むばかりであり、メディアと専門家による監視は怠れない。

文=仲田しんじ

提供元・TOCANA

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