財務省官僚出身の政治家は、財務省の狙いについて熟知しており、各省庁の実質的な権力者となるには、財務省の差配を受け入れることが肝心であると知っている。
各省庁のトップになったり、象徴の政務官になったとしても、結局のところ、財務省の権限が最も強力だと誰もが知っている。
中でも長年の慣習により、自民党税調と財務省は密接に連携している。その結果、自民党税調が財務省との交渉役を担っていると考えるのが自然だ。それは自民党が下野しても変わるところではない。
と言うのも、仮に旧民主党時代のようなことが起きても、いずれ自民党が政権を取り返すことを、財務省は熟知している。つまり、財務省は旧民主党のような政党を信用はしていない。財務省にとっては時の政権が社会主義か共産主義か民主主義かなど関係ない。財務省にとって重要なのは、財務省設置法だからだ。この法律が政治イデオロギー的な働きで改正されることを、財務省は一番、恐れる。
例えば、れいわ新選組のようなMMTを信奉する政党が政権を握ってしまったら、財政規律が麻痺してしまい、日本の財政は一気に瓦解する。れいわ新選組など経済や財政のことなどまるで理解していないから、MMTなどを信奉するのだ。
財務省は、自民党だろうが立憲民主党だろうが国民民主党だろうが日本維新の会だろうが関係ない。財務省設置法が改正されたら自分たちの天下り先が無くなってしまうので、そちらの方を恐れるのだ。
だから、政権交代したところで財務省はそれほど問題にはしない。
今回の自公国の103万の壁協議の場で国民民主党が協議継続を断念した背景には、様々な憶測が流れているが、ここは高橋洋一教授の見立てが正しいと感じる。
いずれにしても日本維新の会は、前原誠司を共同代表に据えたことで、既に今回の三党合意が崩れることは想像できていたと感じる。世間的には財務省と自民党税調にしてやられた形の国民民主党だが、一方、別の見方もあると思う。