「どんな車に乗るか」は個人の自由ですが、「お葬式に派手な色の車はNG」「上司よりいい車に乗るべきではない」など、車においてもTPOを気にする人は少なくないようです。
今回は「愛車でTPOについて指摘されたことがある」というオーナーの方々から、当時のエピソードについて聞きました。
高級な場所に「安い車」は恥ずかしい?
高級レストランなどでは、ドレスコードのように「服装のルール」を設けているお店があります。ルールが明文化されていなくても、暗黙のうちに「場に適した装い」を求められる状況は少なくありませんが、車についてそのような例はあるのでしょうか。
「昔付き合っていた彼女と、一泊5万円くらいのちょっといいホテルに泊まりに行きました。当時乗っていたのは10年落ちのコンパクトカーで、それまでは彼女から何かいわれることもなく、普通に何度もドライブデートをしていたんです。
予定通りホテルに到着し、エントランスのところに横付けしたんですけど、荷物を降ろしている間に彼女はそそくさとホテルの中に入っていってしまったんですよね。後から聞くと、『周りが高そうな車ばかりで恥ずかしかった』というんです。
そこではじめて、『お高いところに安い車で行くのは恥ずかしい』という感覚の人がいることを知りました。でもボーイさんは普通に対応してくれていましたし、それはちょっと自意識過剰なんじゃないかなと。
結局その日はギクシャクしてしまって、せっかくのホテルも気後れして楽しめませんでしたね」(40代男性)
たしかに高級ホテルというと、駐車場に高級車が並んだ荘厳な雰囲気をイメージしてしまうかもしれません。普段は気にならなくても、周囲が高級車ばかりでは、自分の車が浮いているように感じてしまうのも無理はないでしょう。
実際のところ、ホテルのエントランスで係員に車を預けるバレーパーキングなどでは「建物近くの目立つ場所に高級車を並べる」といった話もありますが……。とはいえ「車によって扱いが変わる」というのは理不尽な話ですから、周囲の目を過剰に気にする必要はないと考えられます。
保育園送迎、自分だけ不便な駐車スペースに…
車を選ぶ際、「近所で目立たないように」という点を重視する人もいるようです。反対に、派手な車で周囲に目を付けられてしまった場合、どのような実害が生じるのでしょうか。
「夫の趣味で輸入SUVに乗っているのですが、夫は電車通勤なので、娘を保育園に通わせていた頃は私がその車で毎日送迎していました。
周りはミニバンや軽が多いので、たまに『すごいの乗ってるね』なんていわれることもありましたが、夫が選んだものですし、私はとくに気にしていなかったんです。
でもある日、保育園の園長から声をかけられ、遠回しに『車が大きくて邪魔になるから、駐車場の奥に止めるようにしてほしい』と伝えられました。正直、意味がわからなかったです。だってサイズ的にはアルファードなんかよりも小さいですし、長さだけなら普通のミニバンより短いくらいなんですよ。
そう反論しても、園長は『実際に他の方から苦情も来てしまっていて……』と話を聞いてくれません。変に揉めて娘に何かされたら嫌ですし、仕方なくそれからはガラガラのときでも奥のスペースに止めるようにしました。
あれは本当に苦情が来ていたのか、園長の嫌がらせだったのか、いずれにせよ目立つ車を不快に感じる人はいるんだなと思い知らされました」(40代女性)
ほかにも大きなサイズの車が通っているのに、高級輸入車というだけで配慮を求められるのだとすれば、それは妬みなど主観的な偏見にもとづく不当な要求だと考えられます。
しかし保育園においては「自分の大事な子どもを預けている」という状況であり、対立的な姿勢を示すのにも勇気がいるでしょう。結果として、ある程度の理不尽は受け入れてしまうケースも多いのかもしれません。
突如押しつけられた「結婚式の謎ルール」
TPOに則した振る舞いが求められる場面として、「冠婚葬祭」が挙げられます。「お葬式で派手な装いをしてはいけない」というマナーは広く共有されていますが、一方で結婚式においてはどうなのでしょうか。
「私たちが結婚して数年後、妻の兄が結婚することになり、式にも招待されました。式場は電車でも車でも1時間ちょっとの場所でしたが、当時2歳の子どもがいたため、車で参加する意向を伝えていました。
式が近づき、妻の祖母も同乗させてほしい、と妻から話がありました。当時は85歳くらいで、一人で生活しているものの、足があまりよくないので負担を減らしたいと。もともとのルートからそう大きく外れるわけでもないですし、私は快諾しました。
当日、義祖母の家に到着し、出てきた義祖母に挨拶したんですけど……義祖母は車を見た途端に表情を曇らせ、挨拶も返さず、『これは外車か、いくらしたの』と聞いてきたんです。
若干面食らいつつ、正直に『ドイツ車で、900万円くらいです』と返したのですが、義祖母は『常識知らずが』と怒りだして。どうやら、義兄が主役なのに、脇役が目立つ車で乗りつけるのはおかしいという趣旨でした。
『今すぐ別の車を借りてこい』ともいわれましたが、そんな余裕はないですし、結局義祖母はタクシーを使い、私たちは式場から離れたコインパーキングに車を止めることにしました。正直、まったく納得はできなかったですが……」(40代男性)
結婚式では「新婦以外は白いドレスを着てはいけない」などのマナーが知られていますが、車で参加する際の車種を気にする人は稀だと考えられます。実際のところ、当日忙しくしている新郎新婦が、駐車場の車まで気にするとは考えにくいでしょう。
そのため「高級車で行くな」というのはかなり理不尽な要求に思えますが、上のように指摘した人物が新郎新婦に近しい関係にある場合はとくに、要求を無下にするのも難しいものです。
ここまで見てきたように、「車のTPO」は主観的な見解であるケースも多く、また嫉妬や羨望などの感情が入り込んでいることもあるでしょう。とはいえ「場違いだ!」という声が大きければスルーすることも難しく、「悪いことをしていないのに我慢を強いられる」という状況もままあるのかもしれません。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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