丸出しということは、天敵や何らかの環境刺激から物理的に守られていないことを意味します。
ではオオミツバチはどうやって巣を守っているのかというと、その一番の方法がウェーブなのです。
オオミツバチのウェーブは専門的には「揺らぎ(shimmering)」と呼ばれています。
特にオオミツバチの最大の天敵は、彼らよりも凶暴で攻撃力の高いスズメバチです。
これまでの研究で、スズメバチが巣を襲撃しようと接近してきたときに、オオミツバチはウェーブを作り出して威嚇することがわかっています(Journal of Experimental Biology, 2022)。
1回のウェーブはわずか数百ミリ秒しか続かない非常に短いものですが、オオミツバチたちはこれを何度も繰り返すことで、まるで巣全体が巨大な生き物のごとく波打っているように見せるのです。
実際に実験観察では、オオミツバチのウェーブに直面したスズメバチはそれに困惑して、襲撃することなく進路を変えることが確認されています。
では、オオミツバチたちはどのようにしてウェーブを作り出しているのでしょうか?
ウェーブの作り方が凄い!またウェーブが通じないときの「奥の手」も
研究者たちがオオミツバチの巣を観察したところ、ハチたちは面白い方法でウェーブを作り出していました。
1匹1匹の動きを見ると、彼らは黒いお腹の部分を一瞬だけ上下動させていたのです。
私たちで例えるなら、腕立て伏せの状態から一瞬だけお尻を浮かして、すぐに元の位置まで下げるようなイメージです。
さらに研究者によると、オオミツバチたちは隣にいる仲間の上下動の動きに瞬時に反応して、自らも上下動を開始することがわかりました。
しかし瞬時に反応したとしても、隣のハチの動きとはわずかな誤差が生じます。