民間業者がセキュリティを強化してやるとすれば本人確認が最大のポイントですが、入り口での二段階認証制度はマストだと思います。顔認証も取り入れるべきです。あと、貸金庫内でトラブルが起きないような一定の監視を行い、セキュリティ会社とのタイアップをすればかなりしっかりした貸金庫事業は可能だと思います。もしも大手銀行が貸金庫事業から撤退したいならそちらに誘導することで貸金庫事業から離脱できるでしょう。

これは銀行事業の見直しにもつながります。日本ほど銀行の支店網が張り巡らされているところも少ないと思いますが、銀行自体、どんどん効率化しています。また、窓口業務も昔は番号札取ってからずいぶん待たされたし、更にその昔は銀行の営業担当が預貯金をもらいに営業先のご自宅まで御用聞きのようにして足しげく通うという時代もありました。信用金庫の新入社員のスーツのお尻は自転車に乗り過ぎて直ぐにテカテカになるという話を知っているのは結構ご年配の方だけかもしれません。今では窓口に来るのはお年寄りばかり。ちなみにカナダの銀行でもガラガラで金融街の支店でも窓口には2人ぐらいしか行員はいません。

変な話ですが、今回の事件をきっかけに貸金庫事業が銀行業務から消え、そのおかげで支店の統廃合が進み、金融機関の業務効率化が進むという災い転じて福となす、ということもあるのかもしれません。

日本は何か問題が起きないと改善するきっかけが生まれないのですが、いざ改善となると猛烈な勢いで展開する特徴があります。三菱UFJ銀行以外の銀行幹部の方は「よくやってくれた」と思っている方もいるのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年1月19日の記事より転載させていただきました。