謎を深める遺跡の目的

 ルジム・エル・ヒリの用途については、依然として議論が続いている。遺跡中央には墳丘があり、それを囲む同心円状の石壁と放射状の壁が配置されている。この設計の規模から、埋葬地や部族の集会所、儀式の場として使われた可能性が考えられる。しかし、新たな研究により、これが単一の目的のためではなく、農業、儀式、社会的活動など多様な用途を持つ複合的な拠点だった可能性も示唆されている。

 ルジム・エル・ヒリの同心円と中央の墳墓は、エジプト、クレタ島、そしてより広範なレバント地域で見られる構造物と驚くべき類似点を持っている。例えば、最近エジプトで発見されたルジム・エル・ヒリよりも大きな円形の囲いには、同心円状の環と、ゴラン高原の遺跡の放射状の壁と中央の石塚を反映した迷路のような内部デザインが施されている。同様に、クレタ島のミノア文明の建造物も、宮殿文化と関連付けられているものの、円形の壁と交差する放射状の構造という類似した配置を示しており、共通の建築様式を彷彿とさせる。

東のストーンヘンジ「 ルジム・エル・ヒリ遺跡」数千年にわたる移動と使用目的の謎
(画像=ルジム・エル・ヒリ遺跡周辺の風景 画像は「ZME Science」より、『TOCANA』より 引用)

 イギリスのストーンヘンジは、現在も天文配置がよく保存されている。しかし、ルジム・エル・ヒリの歴史は、文字通り地質学的な力によって形作られてきた。皮肉にも大地の動きが古代の謎をさらに深めてしまったようだ。

 ルジム・エル・ヒリは、その謎めいた目的だけでなく、地殻変動によって移動を続けてきたという点でも、非常に興味深い遺跡である。今後の研究により、さらなる発見があることを期待したい。

提供元・TOCANA

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