田中碧 写真:Getty Images

 2024年にRB大宮アルディージャを買収したことでも知られるレッドブルは、サッカー界での勢力拡大を続けている。2025年初頭にはスペインのアトレティコ・マドリードとの間で2年半のスポンサー契約を締結し、今後さらに関係が深まること示唆されている。

 昨夏には、イングランドのリーズ・ユナイテッドの株式を少数取得し、フランス2部のパリFCにも15%の出資を行ったレッドブル。従来の投資モデルは、クラブの大半の株式を取得し「RB」ブランドを冠することでマーケティングと収益増加を目的としていたが、リーズやパリへの少数株式投資は異例であり、これが何を意味するのかに注目が集まっている。

 アトレティコとの契約は一見単なるスポンサー契約のように見えるが、サッカー界のビジネスと財務分析に特化したニュースレター『FootBiz』は、このパートナーシップを「互いを知るための期間」と位置づけ、将来的な株式投資の可能性を示唆。もしアトレティコが株式投資を受け入れることになれば、リーズやドイツのRBライプツィヒ、オーストリアのRBザルツブルクなどと並ぶ姉妹クラブとなることが予想されている。

 レッドブルの少数株式戦略には、単なるマーケティング以上の意図が見え隠れする。クラブの共同所有が、文化的影響力を通じた政治的・経済的な影響を得る手段となり得る。また、将来的に資産価値を高めて売却する「キャピタルゲイン」戦略も考えられる。

 いずれにせよ、レッドブルのサッカー投資は慈善的なものではなく、明確な収益目標と影響力拡大を伴うものだ。この動向がクラブの独自性にどう影響を及ぼすのか、今後の展開を見守る必要があるだろう。