感じられない「幸楽苑ならでは」の味

お昼時に幸楽苑のある店舗を訪問し「中華そばチャーハンセット」(790円)を注文した。暑い日だったためか冷房が強いため寒く感じた。以前に訪問した際から味は変わっておらず、チャーハンも冷房のせいで食べ終わる前に冷めてしまった。近隣に店舗がなければ車でわざわざ足を運ぶほどの味でもない。

別の店舗も訪問したが、こちらもとても冷房が効きすぎて寒かった。席に着くと店員さんが「冷やし中華」と「背脂牛肉つけめん」を紹介してくれた。これが今の一押しなのだろう。「冷し中華ギョーザセット」(960円)を注文したが、餃子も同店でなければ食べることができないというほどの味わいは感じられなかった。こちらも冷房が強すぎて食べている途中で餃子が冷たくなってしまった。冷やし中華も幸楽苑ならではの味わいという印象は感じられず、出汁の味も一般的であり、何らの個性を感じさせる味わいではない。

例えば日高屋には「野菜たっぷりタンメン」(570円)など、このチェーンでなければ食べることのできない味が存在する。餃子の王将も新コンセプト店「GYOZA OHSHO」の展開や店舗別オリジナルメニューの提供などにより、客に新しい刺激を与える努力をしている。

幸楽苑の動向として注目されるのは、東京・渋谷にある新業態店「餃子の味よし」だ。幸楽苑から業態転換した店舗だが、「日高屋のちょい飲み」ほどのインパクトはないものの、スパークリングワインなどアルコールの種類を増やすことで、お客に食とアルコールの組み合わせを提案している。まだまだ手探りの状態だが、とてもうれしい試みと感じる。

幸楽苑HDでは今年、相談役に退いていた創業者の新井田伝氏が会長兼社長に復帰し、23年3月期決算説明会の資料には「創業者精神の再注入を行う」と書かれているが、それよりもお客に選ばれる商品やサービスを提供できるか、幸楽苑でなければ味わうことのできない商品を提供できるかどうかのほうが、幸楽苑の将来にとっては重要なのではないか。

(文=Business Journal編集部、協力=重盛高雄/フードアナリスト)

提供元・Business Journal

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